モトリーフール米国本社、2023年9月10日 投稿記事より

主なポイント

・キャシー・ウッド氏は革新的で破壊的な企業への投資を好む
・最近ではインテリア・セラピューティクスとギンコ・バイオワークス・ホールディングスの株式を購入
・どちらも目先のカタリストは十分であり、ウォール街も強気

今後、飛躍が期待されるバイオ関連2銘柄

キャシー・ウッド氏は、業界を破壊する可能性を秘め、かつ初期投資家に大きなリターンをもたらしてくれるグロース株を購入する傾向があることで知られています。同氏は、自身が運用する上場投資信託(ETF)のアーク・イノベーションETFを通じて、バイオテクノロジー銘柄に積極的に投資しています。2023年の夏は、インテリア・セラピューティクス[NTLA]とギンコ・バイオワークス・ホールディングス[DNA]の株式を積極的に購入しており、グロース投資家の注目を集めています。

ウッド氏が選択する他の多くの銘柄と同様に、ウォール街のアナリストはこれらの企業に強気で、アナリスト予想を平均すると、両銘柄の株価は1年以内に2倍以上になる可能性があります。ただし、直近12ヶ月では、どちらの企業も株価が下落し、市場をアンダーパフォームしています。アナリスト予想の根拠と、ウッド氏がこれら2銘柄を買い続ける理由について探ってみましょう。

インテリア・セラピューティクス[NTLA]

インテリア・セラピューティクスは初期段階のバイオテクノロジー企業で、医薬品の発売までにまだ何年もかかるとみられるハイリスク・ハイリターンの投資先であり、まさにウッド氏の投資スタイルにぴったりの銘柄です。同氏はここ数週間から数ヶ月の間に、インテリア・セラピューティクスの株式を複数回にわたって購入しており、直近では8月31日に買い増しました。現在、インテリア・セラピューティクスはアーク・インベストメント・マネジメントのポートフォリオの2.4%を占めています。ウォール街の予想では、株価は121%の上昇が見込まれており、その理由は明らかに、今後予定されているカタリストにあります。

同社は年内にも、遺伝性トランスサイレチン(ATTR)アミロイドーシスに対する遺伝子編集療法の有効性を調べる第1相試験の追加データを発表する予定です。この疾患は、希少で最終的に死に至る恐れもある遺伝性の多臓器疾患で、世界全体で50万人が罹患しています。インテリア・セラピューティクスのアプローチは、関連遺伝子の欠陥コピーを攻撃するというもので、うまくいけば患者を永久的に治すことができる可能性があることから、このプログラムは特に注目されています。

遺伝性疾患に対してこのようなアプローチを取っているのはインテリア・セラピューティクスだけではありませんが、成功した場合には極めて高いリターンが見込まれます。インテリア・セラピューティクスが目標を達成することができれば、遺伝子編集技術を活用することにより、以前は不可能と思われていた方法で人間の健康を向上させることができるようになり、医学界にとって新時代の幕開けとなるはずです。

同社はまた、2023年中に第2相試験に必要な書類を提出し、米食品医薬品局(FDA)の規制当局者と将来の第3相試験に関する協議を始める意向です。とはいえ、最大の注目はデータのアップデートとみられ、現時点で詳細は一切、明らかになっていません。

追加データが良好であれば、遺伝子編集技術の安全性と有効性を実証しつつ、将来的には市場規模の大きい疾患向けの医薬品が開発される可能性を予感させるものであり、株価が一夜にして2倍になる可能性も十分にあります。もちろん、失敗すれば株価は下落するでしょう。

しかし、現金および現金同等物が9億800万ドルあり、2022年の営業費用がわずか5億1000万ドルであったことを考えると、たとえATTRがうまくいかなくても、別の開発に挑戦するだけの余裕はあります。

ギンコ・バイオワークス・ホールディングス[DNA]

ギンコ・バイオワークス・ホールディングスはサービスベースのバイオテクノロジー企業であり、インテリア・セラピューティクスのような医薬品開発企業とはビジネスモデルが完全に異なります。研究開発(R&D)によって社内プログラムを進め、自社製品の商業化を目指すのではなく、ギンコ・バイオワークス・ホールディングスは、アルコールの醸造に使われる特殊酵母や農作物を強くするための共生バクテリアなど、他社が経済価値の高い細胞を設計・製造するのをサポートします。

関連する細胞製品の開発に投じる費用よりも他社との共同事業から得る利益が大きくなれば、黒字化する可能性もありますが、現時点では黒字には程遠い状況です。

ウッド氏は以前からギンコ・バイオワークス・ホールディングスの株式を買い続けてきましたが、最後に購入したのは8月21日です。今ではポートフォリオの約2.7%を占め、13番目に大きなポジションとなっています。この積極的なコミットメントは、ウッド氏が同社の未来に高い確信を持っていることを表しています。

ウォール街も同意見です。アナリストは頻繁に意見を翻し、株価予想を引き上げたり引き下げたりしていますが、直近3ヶ月の予想を平均すると、株価は119%の上昇が見込まれます。

では、これほどの株価上昇を予想する裏付けは何でしょうか。一言で言うと、モメンタムです。ギンコ・バイオワークス・ホールディングスはさまざまな事業を手掛ける中で、メルク[MRK]やノボ・ノルディスク[NVO]といった大手製薬会社との共同事業のおかげで、2023年第2四半期のサービス売上高は前年同期比72%増の4400万ドルとなりました。

また、共同開発プログラムの件数は44%増加して105件に達し、共同事業は今後も増えるとみられます。経営陣は、需要に応えることで規模の経済が働き、取り組むプログラムが増えるほどコストが低下すると考えています。

これが本当なら、長期的に見て、ギンコ・バイオワークス・ホールディングスが黒字化し、大手のバイオテクノロジー・サービスプロバイダーとなるにつれて、初期の投資家は大きなリターンを得るはずです。ただし、同社の効率性が本格的に向上し、株主に利益をもたらすようになるまで、まだ数年は待つ必要があるかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Alex Carchidiは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はインテリア・セラピューティクス、メルクの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はノボ・ノルディスクの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。