パウエル議長、利上げを停止する可能性について発言
先週S&P500は1%上昇、ナスダック100は2.1%上昇し1週間を終えました。
先週7月26日(水)の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、再び0.25%の利上げを実施、過去16ヶ月間で11回目の利上げとなり、FF金利は5.25%~5.50%レンジに達しました。これによりFF金利は2001年1月以来の高水準となっています。利上げの後の声明でパウエルFRB議長は、「FOMCのメンバーはもはやリセッションは予想していない」とコメントしました。
また、パウエル議長は「6月のCPIデータは予想を下回る内容であった」ことも認めました。そしておそらく最も重要なことは、FRBが「インフレが信頼性を持って持続可能に下がっているという見解をサポートするデータを確認できれば、2%の目標に達する前にでも利上げを停止するだろう」と言ったことでしょう。
「ソフトランディング」から「ゴルディロックス」経済へ
また、先週発表された第2四半期の雇用コスト指数(ECI)がマーケットの予想の1.1%を下回る1%であったこと、6月のコアPCEの先月比のデータもマーケットの予想の0.2%に対し0.17%であったことも、株式市場に安堵感を与えました。先週発表された第2四半期のGDPも年率換算で前期比2.4%増えていますが、こちらもマーケットの事前予想を上回っています。インフレが低下している兆しがあると同時に、経済はしっかりしているという状況です。
こういった一連の流れは、「ソフトランディング」的な米国経済が、「ゴルディロックス」経済へ変わりつつあることを示唆するものと考えています。ゴルディロックス的な経済とは、童話「ゴルディロックスと三匹のくま」から借りた表現ですが、経済がリセッションを防ぐために十分な経済成長を維持しつつも、成長が加熱しインフレを引き起こすほどでもない理想的な状況を指します。
S&P500社決算発表済の企業:3.8%の増益、6割の企業が事前予想を上回る
第2四半期の決算発表については、これまででS&P500社のうち252社とほぼ半分の企業が決算発表を終えており、前年同期比で3.8%の増益、6割の企業が事前予想を上回っています。先週の87社が決算発表を行なった段階では6.24%の増益でした。しかし、元々の7月4日の段階での予想では8.4%の減益が予想されていたことを考えると、恐れられていたほど悪くなかった決算発表であると言えるでしょう。
7月はあと1日で終わりますが、これまでのところ7月のS&P500は3%上昇、ナスダック100は3.8%上昇と、7月の米国株は強いという歴史的なパターンが再現されています。
尚8月、9月については、季節的にS&P500にとって1年で特にリターンの悪い2ヶ月となります。年初から19.3%上がってきたマーケットです、これから米国株も夏休みに入るという心の準備が必要かもしれません。
今週の決算発表予定
注目は、8月3日のアップル[AAPL]とアマゾン[AMZN]。
7月31日(月)
オン・セミコンダクター・コーポレーション[ON]
8月1日(火)
アルトリア・グループ[MO]、キャタピラー[CAT]、イートン[ETN]、イリノイ・ツール・ワークス[ITW]、マリオット・インターナショナル[MAR]、ロックウェル・オートメーション[ROK]、ウーバー・テクノロジーズ[UBER]、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]、エレクトロニック・アーツ[EA]、モザイク[MOS]、スターバックス[SBUX]
8月2日(水)
シーブイエス・ヘルス[CVS]、デュポン[DD]、エマーソン・エレクトリック[EMR]、クラフト・ハインツ[KHC]、ヤム・ブランズ[YUM]、ファストリークラスA[FSLY]、エムジーエム・リゾーツ・インターナショナル[MGM]、ペイパル・ホールディングス[PYPL]、クアルコム[QCOM]、ショッピファイ[SHOP]、ジロー クラスA[ZG]
8月3日(木)
アンハイザー・ブッシュ・インベブ[BUD]、カミンズ[CMI]、ケロッグ[K]、バルカン・マテリアルズ[VMC]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、アップル[AAPL]、ブロック[SQ]