【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 35,282.72 ▼237.40 (7/27)
NASDAQ: 14,050.11 ▼77.18 (7/27)
1.概況
米国市場は景気の強さを示す経済指標の発表が相次いだことで利上げ継続観測が再燃し下落となりました。38ドル高でスタートしたダウ平均は昼過ぎに125ドル高まで上昇しました。しかし、伸び悩むとマイナスに転じ下げ幅を広げ取引終盤には303ドル安まで下落しました。その後は引けにかけてやや戻しましたが結局237ドル安の35,282ドルで取引を終え14日ぶりに反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も77ポイント安の14,050ポイントと続落となりました。
2.経済指標等
4-6月期の米実質国内総生産(GDP)速報値は前期比の年率換算で2.4%増となり市場予想を上回りました。6月の米耐久財受注額も前月比4.7%増となり市場予想を上回りました。6月の中古住宅仮契約指数も前月比0.3%上昇の76.8となり市場予想を上回っています。また、先週一週間の米新規失業保険申請件数も前週比7000件減の22万1000件となり悪化を見込んでいた市場予想に反して改善しています。さらに欧州中央銀行(ECB)は理事会で政策金利の0.25%の利上げを決めています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちコミュニケーション・サービスを除く10業種が下げました。そのなかでも不動産が2%余り下落したほか、公益事業と金融も1%以上下げています。
4.個別銘柄動向
フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ[META]が決算で示した7-9月期の売上高の見通しが市場予想を上回ったことなどから目標株価の引き上げが相次ぎ4%を超える上昇となりました。クルーズ船のロイヤルカリビアン・クルーズ[RCL]も決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったことから8%以上上げています。また、半導体関連株が堅調で、半導体株ではウエスタンデジタル[WDC]が7%を超える上昇となり、マイクロン・テクノロジー[MU]も5%以上上げています。半導体製造装置株でもラムリサーチ[LRCX]が9%を上回る上昇となり、アプライドマテリアルズ[AMAT]とKLA[KLAC]も5%以上上げました。一方でハネウェル・インターナショナル[HON]が決算で売上高が市場予想に届かなかったことから5%以上下げ、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなっています。サウスウエスト航空[LUV]も決算で1株利益が市場予想並みに止まったことから利益確定の売りが出て9%近く下落しています。
5.為替・金利等
長期金利は景気の強さを示す経済指標の発表が相次いだことや、日銀が長期金利の上昇を容認するとの報道を受けて0.13%高い4.00%となりました。ドル円は日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を検討していると伝わったことで円高となり139円台前半で推移しています。一時は138円台後半まで円高が進む場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安と円高を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。また、本日は昼ごろに日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。長短金利操作で長期金利の操作の上限は0.5%のまま据え置くものの、市場動向に応じて0.5%を一定程度超えることも容認する修正案を検討していると伝わっていることから結果が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)