米グーグルの持ち株会社、米アルファベット[GOOGL]が7月25日に発表した2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比7%増の746億400万ドル(約10兆5100億円)だった。純利益は同15%増の183億6800万ドル(約2兆5900億円)で、6四半期ぶりに最終増益となった。減少が続いていたインターネット広告事業がプラスに転じ、これを含むサービス事業が好調だったほか、クラウドサービス事業も大幅な増収となった。

1株利益は1.44ドルで、売上高とともに市場予想を上回った。決算を受けて、アルファベットの株価は7月25日の米株式市場の時間外取引で一時終値から、6%超上昇した。

ネット広告、3四半期ぶりプラス クラウド28%増

主力のインターネット広告事業の売上高は581億4300万ドル(約8兆1900億円)で、前年同期比3%増。3四半期ぶりにプラスに転じた。このうち7割強を占める検索連動広告の売上高は426億2800万ドル(約6兆80億円)で、同5%増加した。動画共有サービス「YouTube(ユーチューブ)」の売上高は、同4%増の76億6500万ドル(約1兆800億円)で、2022年4〜6月期以来の増収となった。これら広告事業を含むサービス事業は同社全売上高のほぼ9割を占める。

 

同社AI(人工知能)戦略の中心となるクラウドコンピューティング事業の売上高は前年同期比28%増の80億3100万ドル(約1兆1300億円)となり、こちらも市場予想を上回った。同事業の営業損益は3億9500万ドルの黒字(約557億円)。前年同期は5億9000万ドル(約832億円)の赤字だった。

スンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は声明で、次のように述べた。「この四半期は製品全体と会社全体で非常にエキサイティングな勢いがあり、強力な成績を収めることができた。」

「AIにおける継続的なリーダーシップ、優れたエンジニアリング、イノベーションが次世代の検索を進化させ、すべてのサービスを向上させる。5億人以上に提供される15のプロダクトと、それぞれ20億人以上に提供される6つのプロダクトにより、われわれは使命を果たすための数多くの機会を持っている」(ピチャイ氏)

従業員8,000人減

2023年6月末時点の従業員数は約18万1,800人で、3カ月前から8,000人近く減った。2023年4〜6月期は、これら整理解雇(リストラ)などに伴い6,900万ドル(約97億円)の費用を計上した。

同社は、2023年1月、グループ全体で約1万2000人を削減すると発表した。対象になったのはアルファベット従業員の約6%で、ピチャイ氏は、「製品や事業、役職、地域を問わず、全社を横断するものになる」と説明していた。

米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、採用部門や、非中核事業とみなされるプロジェクトなどの一部部門はより深刻な影響を受けたとみられる。影響は、副社長レベルや、クラウドコンピューティング、スタートアップを構築するインキュベーター制度「エリア120」の従業員にまで及ぶと関係者は話していた。

アルファベットは同日、グーグルでCFO(最高財務責任者)を8年間務めてきたルース・ポラット氏が、アルファベットの社長兼CIO(最高投資責任者)に就任すると発表した。後任のCFOは今後、選任する。