米国では、2022年に暗号資産市場でテラショック&FTXショックという大事件が起きたことがきっかけとなり、証券取引委員会(以下、SEC)を中心に暗号資産および暗号資産関連企業に対する取り締まりが強化されている。

そのような逆風が吹く中、2023年6月に米国において世界最大の資産運用会社ブラックロックがビットコインの現物ETFを米SECに申請した。同社が申請したファンド名は「iShares Bitcoin Trust」であり、ETFシェア世界No.1ブランドの商品ラインナップの一つとしてビットコインが加わる可能性が出てきた。

これを受けてビットコインの価格も一時450万円台まで高騰した。

これまで複数の米国資産運用会社がビットコイン現物ETFを申請してきたが、いずれも米SECによって否決されてきた。当局は今回もその申請に対してNOと突きつけるのか、あるいは世界で最も信頼されている運用機関の申し入れを歓迎するのか、その決定に注目が集まっている。

本件がどちらに転ぶかについては市場関係者の間でも意見が分かれている。米国の暗号資産規制が具体的に整備されるまではビットコイン現物ETFの実現は難しいという否定的な見方がある一方で、米SECはブラックロックの本格参入によって暗号資産のメインプレイヤーが伝統的な金融機関に移り変わることを望んでいるという説もある。

今回、申請されたビットコイン現物ETFでカストディを担うコインベースと米SECとの対立がおさまるまではなかなか承認が下りづらいと見ているが、審査期間の最大である240日間のうちにそれが認められる可能性は十分にある。もし仮に米国でビットコイン現物ETFが実現すれば、2004年に金の現物ETFができた時と同様に、ビットコインの価格が急上昇する可能性は大きい。

2024年前半には金融市場において各国の利下げ転換がおそらくスタートし、暗号資産市場ではビットコイン半減期も迎える。そこに順序はどうあれビットコイン現物ETFの承認が合わさることで、次の暗号資産ブームに繋がることに期待したい。この承認が時期の問題であるならば、来年にかけてFOMO(フォーモ:取り残されることへの不安)心理に陥る前にマーケットインすることが吉かもしれない。