今週(6月30日~7月6日)の相場動向

相場回顧 BTC:現物ETFへの期待によって左右される展開

ビットコインはもみ合いの展開となった。米国でフィデリティも続いてビットコイン現物ETFを申請し、現物ETFへの期待から堅調に推移した。しかし、米ウォールストリート・ジャーナル誌によって「米国証券取引委員会(SEC)がブラックロックなどが提出したビットコイン現物ETFの申請書類を内容不十分で返却した」と報じられると、失望売りによりBTC=432万円(30,000ドル)を割り込んだ。

7月3日には、ブラックロックが修正版の申請書類をSECに再提出したことで現物ETFへの期待が再燃し、買いの勢いが回復した。6月米ISM製造業景況指数が3年ぶりの低水準に落ち込み、米国における追加利上げ懸念が後退したことも相場を後押しした。その中で一時はBTC=446万円(31,000ドル)を上抜けたが、シンガポールで暗号資産のレンディングやステーキングを制限する方針が発表されたこともあり、上値が重くなった。

米国独立記念日開けとなった7月5日には、中国経済指標の悪化が警戒されて株式市場が下落し、ビットコインも売り優勢となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では利上げ停止に関して参加者間の意見が分かれていたことが明らかになり、年内追加利上げへの懸念が強まった。一方、ブラックロックのCEOが「ビットコインは国際的な資産である」と発言したことが話題となり、週末にかけても売り買いが交錯した。

 

来週(7月7日~7月13日)の相場予想

BTCは現物ETF期待が相場を下支える展開、米CPIに注目

今週発表されたFOMC議事要旨で参加者間の意見相違が確認され、米国における追加利上げの不透明感が強まっている。7月7日に発表される6月米雇用統計が景気の底堅さを示し、来週発表される6月米消費者物価指数(CPI)がインフレの根強さを示唆する内容となった場合は、今月FOMCでの追加利上げ観測によってリスク資産の売りが強まることは考えられる。ただし、CMEのフェドウォッチではすでに今月会合での追加利上げが大方予想されているため、FOMC前の下げは限定的と予想する。その後のパウエルFRB議長会見までは不透明ながら方向感に乏しい展開が続くだろう。

一方、米国におけるビットコイン現物ETFへの期待が引き続き相場を支えている。今回のウォールストリート・ジャーナル誌の報道のように、その期待を裏切るような動きがあった場合に急落するリスクはあるが、SECが数ある現物ETFの申請を正式に否決するまでは市場でポジティブな材料として意識され続けるだろう。SECによる審査が長引き相場が停滞した際には、これまでビットコインに集まっていた資金がボラティリティを求めてアルトコインに流れる可能性があるため、ドミナンスが下げに転じた時は注視したい。

直近、2022年5月高値付近であるBTC=461万円(32,000ドル)、下値として2023年6月以降のレンジ半ば付近であるBTC=403万円(28,000ドル)を意識する。