サンケイリアルエステート投資法人(2972)へのTOB
サンケイリアルエステート投資法人SRE(以下SRE)は2026年1月6日に投資法人役員会を開催し、SREに対する公開買い付け(以下、本TOB)に賛同の意見表明を行い、投資主に対しても本TOBへの応募を推奨することを決議したと公表した。J-REIT市場では、敵対的TOBや純投資目的のTOBの事例はあったが、本TOBは投資法人側およびスポンサーが賛同する初めての友好的な事例となる。
公開買付者(以下、買収側)は、買収を目的としたSPC(特別目的会社)であるが実質的にはトーセイ・リート投資法人(3451)のスポンサーでもあるトーセイ(8923)とシンガポール系の政府ファンドであるGICとなっている。
本TOBで、買収側はSREの投資口の53%を下限として、1口125,000円で1月7日から2月6日まで買付を行う。下限までの応募がなかった場合には本TOBは不成立(応募分の買付も行わない)となる。
一方で本TOBが成立した場合、投資口の併合を行うことで応募しなかった投資主に金銭を支払い、全投資口を取得(いわゆる、スクイーズアウト)する予定であり上場廃止となる。なお前述の通り友好的TOBであり、スポンサーであるサンケイビルは保有するSRE投資口4.96%に関し本TOBに応募(売却)するとしている。
買収側が本TOBでSREを上場廃止とする背景
買収側は、SREを上場廃止とする理由として、上場J-REITは短期的な業績を重視する投資家が多く、中長期的な視点での保有不動産の価値向上が難しい点を挙げている。具体的には、物件の大規模修繕やテナント退去の可能性が生じるが、積極的な賃料交渉など短期的には収益低下要因が生じても、保有不動産の収益性を向上させる施策は非上場化しないと実行しにくいとしている。
SREは、直近決算期となる2025年8月期時点で含み益率が1.2%しかない。J-REIT市場では2025年下期の決算実績が揃っていないため含み益率の単純比較はしにくいが、2025年上期時点で全銘柄の中央値は25%を超えている。したがって買収側は、資産価値向上の余地が大きいポートフォリオと考えている可能性がある。
買付価格を基に算出すると、SREのポートフォリオの2025年8月期時点の鑑定価格951億円を1,028億円(8%増)で買収できることになる。さらに買収側は、サンケイビルに対してテナントが退去した日立九州ビルを2025年8月期時点の鑑定価格を下限として売却できることや、SRE保有のホテル賃貸借契約の内容を変更できるとしている。
つまり買収側は、短期的な面で資産価値下落リスクの回避と収益性向上が図れる状態を用意している。これらの短期的な面と長期的な施策で、買収側は1,028億円を大幅に上回る資産価値の実現を目指していると考えられる。
次回連載では、本TOBがJ-REIT市場に与える影響について記載する予定です。
