「家計を節約したい」という思いで優待投資に目覚めたかぶ太郎さん。株式投資で年間配当額をコツコツ増やしつつ、株主優待品を日常生活で活用して支出を削減している節約の達人です。かぶ太郎さんに銘柄選びのポイントや売買のコツ、今おすすめの株主優待銘柄などをお聞きしました。

●かぶ太郎さんプロフィール●
株主優待と高配当銘柄をこよなく愛する関西在住のアラフォー会社員。金融機関職員を経て、時間的な自由を求めて転職。FIREを目指して株主優待や高配当銘柄を中心に投資信託にも投資。保有銘柄は130銘柄超。家族は妻、子ども2人、ゴールデンハムスター。「平均所得のサラリーマンの優待生活-かぶ太郎の株主優待ブログ」やTwitterで株主優待の魅力を発信中。

「株主優待は家計の節約につながる」と発見

――かぶ太郎さんが株式投資を始めたきっかけを教えてください。

子どもが成長するに連れて生活費などの支出がかさみ、「将来に備えた資産形成が必要だ」と感じたことがきっかけです。2008年頃からiDeCo(個人型確定拠出年金)での資産運用と投資信託への投資を始めましたが、その後、2013年頃から自分が好きな企業に直接投資したいと感じて個別銘柄にも投資するようになりました。当初の投資資金は300万円ほどだったと思います。

ただ、当時は勉強する時間がなかったこともあり、中長期保有を前提に大型の有名な企業に投資していました。ある時、家族で外食をした際に、隣のお客さんが店員さんから「お会計は不要です」と言われていたのです。よく見ると、株主優待のお食事券を使っていた。それを機に株主優待という制度を知って、「これは節約につながる」と思い、2016年から本格的に優待銘柄への投資を始めました。

――どのような業種や業界に投資していますか?

業界で絞ることはしていません。むしろ、複数の銘柄に分散投資することでリスクを軽減することを意識しています。

投資先を選ぶにあたっては、優待品を日常的に使えることが大事だと考えています。そのため、飲食店やスーパー、家電など生活に直結する小売業のほか、高配当で株主優待とのバランスのとれている銀行、日常生活に不可欠な食料品メーカーなどへの投資金額が多いですね。

銘柄選びのポイント:配当+株主優待利回りが4%以上、日常生活に役立つこと

――高配当銘柄もお持ちだそうですが、こちらはどのような基準で選んでいますか?

現状では、130銘柄の9割5分が株主優待も提供する銘柄です。高配当銘柄を選ぶ際には、配当金の推移と配当性向を必ずチェックしています。また、記念配当などが含まれていないかを確認するとともに、業績連動型配当の銘柄の場合には、直近の配当金がたまたま高額だった可能性はないかなども調べています。

――高配当・優待銘柄への投資は、どのくらい家計の節約につながっていますか。

現在保有している130銘柄から得られる配当金は年間約80万円(月平均6万円)です。株主優待は、会社が公表する優待価値で計算すると、年間約60万円(月平均約5万円)になります。配当金と優待品を合わせると年間約140万円を節約できていると言えます。

――株主優待の銘柄選びのポイントを教えていただけますか?

配当+株主優待利回りが4%以上あることを目安としています。これは、憧れの桐谷広人さんの配当・優待銘柄選びの基準にならったものです。また、先ほどもお話したように、優待品が我が家の日常生活に役立つかどうかを重視しています。支出を減らすことができれば、利回り以上の効果を得ることができるからです。

外食関連の銘柄は、優待内容は充実しているものの、配当利回りは低い銘柄が少なくありません。子どもが成長して家族揃って外食する機会が減ったら、外食関連の銘柄を減らして、ほかの銘柄に入れ替えるかもしれません。

もらって嬉しい優待品は「家族の笑顔を見られるもの」

――かぶ太郎さんが、これまでにもらって嬉しかった優待品を教えてください。

2021年にもらったサンリオの株主優待

サンリオ(8136)の優待品を使って、大分県のハーモニーランドに家族旅行したことですね。あの時の家族の笑顔は忘れられません。サンリオに限らず、家族でテーマパークへ行ったり、旅行をしたりした優待品は、どれも印象深いですし、嬉しかったですね。

最近では、本田技研工業(7267)の優待券で鈴鹿サーキットとモビリティリゾートもてぎへも行きました。残念なことに2022年3月で、このテーマパークの優待券はもらえなくなってしまいましたが…。

優待銘柄の売却時の注意点

――優待銘柄で失敗した経験があれば教えてください。

フレンドリー(8209)が株主優待の休止を発表したときに、2日間ストップ安になりました。その時は「株主優待を復活してわずか1年での改悪はないだろう」と高をくくっていたため、結局、株主優待をもらうこともできず、株価は下がり…という苦い思いをしました。他にも、マルシェ(7524)の株主優待廃止でもストップ安を経験しました。

業績が悪く、無配当で、株価が株主優待制度に依存している銘柄には手を出すべきではないとつくづく感じましたね。

――優待制度の廃止・改悪が発表された場合は、売却しますか。

はい。株主優待を受けることを目的に保有しているので、できるだけ早い段階で売却を考えます。また、業績が著しく悪化して、今後の大幅な株価下落が想定される場合も売却を検討しますね。

ただし、銘柄によっては株主優待制度を廃止しても、配当金を増やすことが期待できるケースもあります。オリックス(8591)や日本たばこ:JT(2914)が該当すると思いますが、そのような銘柄は、保有を続ける可能性もあります。

130銘柄を保有するかぶ太郎さんの優待品、銘柄の管理方法

――優待品が届くのを、どのようにコントロールされていますか?

届くタイミングに極端な偏りがあるので、自分ではコントロールしにくいのが実情です。そのため、カタログから優待品を選ぶもので配達希望日を調整できるものは、届くタイミングをずらすなどの工夫をしています。

また、冷蔵庫や冷凍庫で保管が必要な食品などの優待品を注文する際は、届くタイミングについてあらかじめ妻と相談しています。配送業者から配達予定日の連絡が届いたときにも、必ず家族で情報共有して、受け取れるよう協力しています。

――銘柄はどのように管理していますか?

Excelと証券会社のアプリで管理しています。売買した際にはExcelに記入し、日々の値動きはアプリでチェックしています。と言っても、銘柄数が増えるにつれて、把握しきれない部分もあります。例えば、株価が大きく上がった際に「嬉しい!」と思ってExcelをチェックしたら、既に売っていたことも…。ある企業が株主優待制度の廃止を発表した際には、「確か、もう売却していたはず」と思って調べたら、まだ保有していた…ということもありました。

資産は「与えられる」ものではなく、自分で「作る」もの

――かぶ太郎さんが、お子さんに伝えたい株式投資の魅力を教えてください。

資産は「与えられる」ものではなく、自分で「作る」ものだということを伝えたいですね。それと、値上り益を狙うにしても、配当や優待などの株主還元を受けるにしても、いかに楽しく資産形成するかが大切だと思っています。それを知ってほしいですね。

――ブログにFIREを目指しているとお書きでしたが、どのようなタイミングで達成する予定ですか?

ブログには「FIRE」について書きましたが、それはあくまで夢であって、現段階ではタイミングなどは特に考えていません。

まずは、ブログでの副収入を築くとともに、サラリーマンにとって最大の武器でもある月々の安定収入を活かしながら、「平均所得のサラリーマンもここまで資産を築けるんだ!」という実績を作り出せたらいいなと思っています。

FIREを夢に描きながらも、まずは保有銘柄を増やして、配当金と株主優待(現金換算額)それぞれで年間100万円以上を得ることが目標です。

>> >>【後編】かぶ太郎さんの「家計の節約に役立つおすすめ株主優待銘柄10選」

※本インタビューは2023年5月22日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。