今週(5月26日~6月1日)の相場動向
相場回顧 BTC:米政府債務上限合意が間近で一時上昇するも上値の重い展開
ビットコインは米国金利の上昇下で軟調な推移が続いていたが、5月27日に米国の政府債務上限問題に関する協議が基本合意に達したと報じられると急回復した。米国のデフォルト懸念が後退し、金融市場全体でリスクオンによる買いが強まった。5月29日にはBTC=391万円(28,000ドル)を一時的に上抜けたが、アルトコインを物色する動きも活発化し、ドミナンス低下とともに上値が重くなった。連休明けの米国株が予想よりも弱い値動きとなったこともあり、次第に売りが強まった。
その後、バイデン米政権と下院共和党の債務上限合意を盛り込んだ法案の議会採決の行方を巡って不透明感が強まり、5月31日にはBTC=377万円(27,000ドル)付近まで急落した。その日の米国市場ではAIブームで急上昇してきたエヌビディア(NVDA)も株価が急落した。同法案の下院可決や当局者によるタカ派寄りの発言を受けてやや買い戻されたが、米雇用統計の発表を前に米国金利が上昇する中、再び売りが強まりBTC=377万円(27,000ドル)を割り込んだ。
来週(6月2日~6月8日)の相場予想
BTCは米政府債務上限合意に至るも上値の重い展開か、アルトコイン過熱に警戒
米国の政府債務上限問題がようやく解決に向かい、政府のデフォルト懸念が後退している。これを受けてリスクオンムードが広がることが考えられる一方で、依然として米国金利は高止まりしているため、6月半ばの米連邦公開市場委員会(FOMC)にかけては買いが入っても上値の重い状況が続くだろう。市場では今回での利上げ停止が期待されているが、当局者の発言によって金利とともに相場は左右されるだろう。また株式市場ではAIブームの中でやや過熱感が意識されており、暗号資産についてもアルトコイン物色が進んだ後の大きな下落には警戒が必要である。
米国では規制環境が不透明なままジェミナイをはじめとする暗号資産関連企業の事業環境の悪化が続いている。そうした企業による米国撤退や事業縮小、最悪の場合には経営破綻によって米国の暗号資産市場が衰退している間は相場も大きく好転しづらいだろう。一方、日本では6月からステーブルコイン規制がスタートし、欧州や香港などでも暗号資産規制が着々と整備されている。今後、米国外で大手企業や機関投資家による暗号資産市場への参入が進むことで強気トレンドが生じることは期待される。
直近上値として今年4月以降の下落から半値戻しとなるBTC=397万円(28,500ドル)、下値として2023年2月高値付近となるBTC=349万円(25,000ドル)を意識する。