資産運用は個別銘柄や投資タイミングより、アセットアロケーション(資産全体の配分方法)を重視すべきというのが私の考えです。
自分のポートフォリオに組み入れる資産には、リスクの低いものから高いものまで様々なものがあります。それらを「コア資産」と「サテライト資産」に分類する「コア&サテライト」というアプローチ方法があります。
「コア&サテライト」のオーソドックスな手法とは
コア資産とは、長期で着実に資産形成することが期待できる投資対象です。一方のサテライト資産とは、コア資産よりも大きなリスクを持つ資産であり、より大きなリターンを狙う投資です。
コア資産が守りの資産だとすれば、サテライト資産は攻めの資産ということができるでしょう。
通常は、金融資産の中からコア資産とサテライト資産を構築していきます。
コア資産とは、例えば、債券型の商品やバランス型と呼ばれる様々な資産を組み合わせた投資信託のような商品などです。
サテライト資産は、海外の株式、ハイイールドの海外債券などを指すことが多くなっています。
投資ホライゾンを拡大すると世界が変わる
コア&サテライト資産に関しての分類方法には、明確な定義があるわけではありません。インデックス運用の株式をコア資産に組み入れる方法を提案している金融機関もあります。
私が考えるコア資産とサテライト資産は、投資ホライゾン(投資ができる範囲)を金融資産だけではなく、実物資産や暗号資産にも広げて分類する方法です。
コア資産とは、長期で着実に資産形成ができる資産のことですが、金融資産として株式のインデックスファンドを挙げることができます。
日本株式だけではなく、日本以外の先進国の株式、そして新興国の株式も対象です。それぞれのインデックスに連動させ、分散投資を行えば、10年程度の長期の運用期間で着実に成果を出すことができると思います。
また、金融資産だけではなく実物資産として、東京を始めとする都心部の中古ワンルームマンションもコア資産に分類します。
空室リスクが低く、毎月の着実な賃貸収入によるインカムゲインが得られ、長期の資産形成に有効だと考えるためです。
ここでは株式インデックスファンド、そして中古ワンルームマンションの2つをコア資産と位置付けています。
株式インデックスファンドは、中長期で経済成長に伴うマーケットの拡大からリターンを得ようとするキャピタルゲインを狙う投資です。
一方の中古ワンルームマンションは、不動産のリスクをミニマイズしながら、定期的な家賃収入によって収益を積み上げるインカム投資です。
また、国内不動産はお金を借りる力を活用し、借り入れによってレバレッジをかけられるのが金融資産にはないメリットです。
このような2つのコア資産から資産運用の基盤を作り、その上にサテライト投資と呼ばれるよりリスクの高い投資対象を組み合わせることで、収益の上乗せを狙います。
サテライト資産の投資ホライゾンも拡大できる
サテライト投資資産としては、実物資産が中心となります。流動性が低く売買しにくい、また値動きが大きく価格リスクが大きいという特徴があります。
例えば、アンティークコイン、ワイン・ウイスキー、現代アート、アンティークロレックス、トレーディングカードといった資産がこれに該当します。
金融資産であれば、未公開株式がサテライト資産と位置付けられます。上場や株式売却などによって株式価値が大きく上昇する可能性のある資産です。一方で上場株式よりは企業として脆弱で、途中で破綻するケースも珍しくありません。
また、ビットコインに代表される暗号資産もサテライト資産として認識しています。価格変動は株式よりも大きく、リスクの大きな資産です。
サテライト投資は無理にやらなくても良い
サテライト資産は、リスク許容度の大きな投資家が投資すべき資産です。過剰なリスクを取らず、堅実な投資をしたいのであれば、サテライト資産を無理に保有する必要はありません。
コア資産への投資額だけでも、十分な成果が期待できると思います。
また、1つの資産に集中せず、サテライト投資資産の中での分散も意識して行うべきです。
個人投資家の資産運用がうまくいかない原因として、サテライト資産のようなリスクの高い投資対象を自分のリスク許容度を超えて組み入れてしまい、リスクの取りすぎになっていることがあります。
投資する価値のある資産を選ぶだけではなく、それらを自分のリスク許容度に合わせて組み合わせていく必要があります。
自分の投資資産をコア&サテライトに分類することで、より精緻なリスクコントロールを行いましょう。