モトリーフール米国本社、2023年5月21日 投稿記事より
主なポイント
・スノーフレークのデータクラウドは、AIを活用した機能性を顧客に提供
・デジタルバンクのアライ・フィナンシャルは、AIを活用したアプリで顧客を支援
バフェット氏が投資するAI関連銘柄は、幅広い業界にわたる
ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、多くの人工知能(AI)関連銘柄に投資しています。アップルへの大規模投資に始まり、シェブロンなどのハイテク以外の企業まで、AIはバークシャー・ハサウェイのポートフォリオに含まれるさまざまな企業に、少なからずプラスの影響をもたらしています。
バフェット氏と同氏のチームは、急成長中のAI企業にも投資しており、これらの企業は株主に多大なリターンをもたらす可能性があります。以下、バークシャー・ハサウェイの保有銘柄の中から、スノーフレークとアライ・フィナンシャルの2社について詳しく見てみましょう。
スノーフレーク[SNOW]
スノーフレークは、データクラウドの分野でリーダー的な地位を確立しています。同社のソフトウェアを利用することで、企業はデータの保存、アップデートの管理、データの利用を、一元的かつ安全な場所で行うことができます。しかも、データが収集されたクラウドインフラの環境に関係なく、これらを実現できるという点がアマゾン・ドットコムやマイクロソフトが提供する競合製品に対する、スノーフレークの優位性となっています。
確かに、バフェット氏のチームは2020年に新規株式公開(IPO)前のスノーフレークに投資した時、AIよりもデータクラウドの可能性に注目していたかもしれません。しかし、AIはスノーフレークを支える重要な役割を担っており、中でも同社のデータサイエンスと機械学習の用途では特にそうです。データストレージを一元化することで、同社は機械学習のワークフローを加速させ、顧客のデータへの迅速なアクセスを可能にしています。
さらに、開発者向けフレームワークの「Snowpark」を通じて、PythonやSQLといったプログラミング言語を適用してデータ変換を実行することもできます。このアプローチにより、顧客は機械学習を活用した新たなビジネスアイデアを生み出すことができます。
こうした能力により、スノーフレーク製品への関心は高まっています。2023年1月期第4四半期(11~1月期)の売上高は、前年同期比54%増となりました。増収の背景には、顧客数が同32%増の7,828となったことが寄与しています。
一方で、営業費用が売上高を上回る状況が続いており、四半期の損失は2億700万ドルに拡大しました。それにも関わらず、スノーフレーク株は今が買いだとする見方があります。株価はこの1年間で20%上昇していますが、それでもまだ2021年11月に付けた過去最高値から約55%下落しています。
株価売上高倍率(PSR)は27倍であり、最近のハイテク環境では割高に見えるかもしれませんが、スノーフレークのPSRが20倍を下回ったことは過去に1度もありません。2020年後半にPSRが184倍に達したことを考えれば、バリュエーションがどれだけ低下したか分かるはずです。従って、PSRがやや割高に見えるとしても、スノーフレークの急成長とデータクラウド業界における独自の地位を考慮すれば、魅力的なバリュープロポジションを提供していると言えます。
アライ・フィナンシャル[ALLY]
ローンや個人向け融資に特化した企業に、AIの必要性があるのかと疑問に思われるかもしれません。しかし、金融の世界におけるAIの活用例は数多くあり、特にアライ・フィナンシャルのようなデジタルバンクでは、さまざまな形で活用されています。アライ・フィナンシャルは、自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)の自動車ローン部門から、現在のデジタルバンクへと、大転換を遂げました。
同社は支店を持たないアプローチを取っており、ほぼすべての顧客とのやり取りがオンラインで行われます。テクノロジーに依存しているため、AIは間違いなく必要不可欠です。同社の元最高戦略・経営企画責任者は以前、業界紙「アメリカン・バンカー」に対し、AIの重要な活用例の1つを説明しました。
AIを活用することで、アライ・フィナンシャルは他の書類から情報を収集し、顧客が自動車ローンの申込書を記入するのをサポートします。これによりカスタマーエクスペリエンスが向上し、同時にデータの正確性も高まります。AIによって作動する「アライ・アシスト」と呼ばれるバーチャルアシスタントが、顧客サービスの一般的な質問に対して、人が直接関与することなく回答しています。
バーチャルアシスタントが原因で、顧客がアライ・フィナンシャルでの銀行取引や同社への投資をためらうことはないようです。2023年第1四半期末時点の預金総額は1,540億ドルで、前年同期比で11%増加しました。
しかし、預金の増加にも関わらず、第1四半期の収入は同2%減となりました。また、純利益は3億1900万ドルとなり、前年同期の6億5500万ドルから大幅に減少しました。利益が減少した原因は、貸倒引当金が、2022年第1四半期の1億6700万ドルから4億4600万ドルに増加したことにあります。
実際に、こうした状況を受け、バフェット氏のチームはアライ・フィナンシャルのポジションを少し減らし、保有株数を3%減としました。それでもまだ9.6%の持ち分、約2900万株を保有しているため、バークシャー・ハサウェイのアライ・フィナンシャルに対する見方や投資スタンスが変わったわけではないようです。
さらに、1株当たり1.20ドルの年間配当により、株主は4.7%の配当利回りを得ることができます。株価上昇に加え、配当リターンが期待できることから、アライ・フィナンシャル株への信頼は高まると思われます。その上、利益が落ち込んだとはいえ、株価収益率(PER)は6倍であり、少し前の安値水準からは上昇していますが、2021年初めの17倍と比べると大幅に低下しています。つまり、AI関連銘柄を割安に買うのと同時に、高水準の配当利回りを得ることができるため、アライ・フィナンシャルのバリュープロポジションはますます高まっています。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アライ・フィナンシャルは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットの元CEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Will Healyは、バークシャー・ハサウェイの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドットコム、アップル、バークシャー・ハサウェイ、マイクロソフト、スノーフレークの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、ゼネラル・モーターズの株式および以下のオプションを推奨しています。ゼネラル・モーターズの2025年1月満期の25ドルコールのロング。モトリーフールは情報開示方針を定めています。