モトリーフール米国本社 – 2025年4月6日 投稿記事より
投資家はトランプ大統領の輸入関税がハイテク企業に与える影響を懸念
ここ数日、「マグニフィセント・セブン(M7)」はその名にふさわしいパフォーマンスを発揮していません。過去2年間に市場の上昇を牽引してきたこの巨大ハイテク銘柄は、現在では株価下落の先頭に立っています。グーグルの親会社アルファベット[GOOGL]、アップル[AAPL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、マイクロソフト[MSFT]、半導体大手エヌビディア[NVDA]、電気自動車(EV)大手のテスラ[TSLA]について見てみましょう。
先週、トランプ米大統領は世界中の国々から米国への輸入品に対して、予想されていた以上に幅広い関税を発動する計画を発表しました。これらの企業自身が、各社の事業に固有の悪いニュースを発表しているわけではありませんが、投資家はトランプ米大統領による新たな輸入関税がこれらの企業に悪影響を及ぼすのではないかと懸念しています。
今後の問題は2つの側面を持っています。例えばマグニフィセント・セブンのような米国企業は、輸入する原材料や完成品のコストが上昇するという課題に直面します。また、国内価格が上昇する中で、特に米国民が裁量的な支出を抑制することから、これらの企業が苦境に立たされる可能性があります。このような状況がマグニフィセント・セブンに大きな影響を与えており、本稿執筆時点で年初来の株価下落率はメタ・プラットフォームズが13%、テスラは40%に及んでいます。
上記を考慮すると、これらの優良企業は依然として、長期投資の対象なのでしょうか?それを探っていきましょう。
トランプ米大統領の「解放の日」
まず、関税を巡る状況を簡単にまとめると、トランプ米大統領は2025年4月2日を「解放の日」と宣言し、米大統領による関税の発表が、米国にとって経済的自由を意味すると示唆しました。2025年3月初旬、トランプ米大統領は最初にカナダ、中国、メキシコからの輸入品に関する関税について言及し、計画の全体は1ヶ月後に発表すると述べました。
2025年4月2日に発表された内容は予想されていた以上に広範囲に及び、米国へのすべての輸入品に対して10%の基準関税が課され、日本から台湾まで多くの国々に対して20%および30%を超える関税が課されることとなり、投資家を驚かせました。一般的に、好調な経済環境の下で成長するグロース銘柄は軟調な経済環境下では低迷しやすく、発表後の取引時間には株価下落を主導しました。その結果、ハイテク銘柄を中心に構成されるナスダック総合指数は、2025年4月4日に直近の高値から20%を超える下落を記録し、弱気相場に突入しました。
マグニフィセント・セブンが打撃を受けている2つの理由
マグニフィセント・セブンは、人工知能(AI)やクラウドコンピューティング、EV、ソフトウエアなど、さまざまなハイテク分野に展開する高成長で収益性の高い企業群です。これらの株式が現在、特に大きな打撃を受けている理由は2つあります。
まず、これらがすべてグロース銘柄であり、上記の通り、経済の強さに依存して事業や売り上げを拡大するからです。輸入関税が景気後退を招く可能性があるという最近のエコノミストのコメントは、これらの企業にとって良いニュースではありません。
第2に、マグニフィセント・セブン各社は、それぞれ程度は異なりますが、海外からの輸入に依存しています。つまり、新たな輸入関税によりコストが増加することを意味します。例えば、エヌビディア[NVDA]が使用する半導体チップの大部分は台湾で生産されていますが、台湾は現在32%の関税に直面しています。重要なのは、輸入品の関税を支払う責任は、その輸入業者、この場合はエヌビディアにあるという点です。
つまり、今後、マグニフィセント・セブン各社の利益が圧迫される可能性が高いということです。一方で、これらの銘柄は今後数ヶ月、あるいは四半期にわたって逆風に直面する可能性がありますが、それでも長期保有する上では素晴らしい銘柄であり続けると思われます。なぜなら、各社は業界を主導するポジションにあり、強固な成長実績を持ち、十分に確立された企業です。そして重要なのは、トランプ関税がこれらの企業の長期的な成長見通しを変えるものではないという点です。例えば、関税はAI革命の可能性を止めるものではありません。アナリストはAI市場が数年後に1兆ドルを超える規模に達すると予測しており、マグニフィセント・セブン各社はその恩恵を十分に享受するポジションにあります。
逆風への対処
一方、短期的な状況は想像するほど困難ではないかもしれません。これらの企業は、例えばインフレのような逆風に対処した経験があり、例えば、他のコストを削減するなどして、関税の影響を最小にする方法を見つける可能性があります。また、米国と他国の間で交渉が行われる可能性もあります。
最後に、重要なこととして、マグニフィセント・セブンの各銘柄のバリュエーションはここ数週間で大幅に低下し、投資家にとって優良なハイテク銘柄を割安な価格で購入できる機会を提供していることを指摘しておきます。
本稿執筆時点で、アルファベットとメタ・プラットフォームズの予想株価収益率(PER)は20倍を下回り、極めて割安だと考えられます。そして、AIの巨人エヌビディアの場合、わずか20倍です。
このことから、今はこれらの巨大ハイテク企業への投資を始めるのに良いタイミングだと言えるでしょう。例えすぐに株価の反発や上昇がなかったとしても、それは問題にはならないでしょう。長期投資家として少なくとも5年間、これらの銘柄を保有する計画を立ててみてください。その間に現在の逆風を乗り越え、長年にわたり築いてきた強みを活かして成長を続けることができると考えられます。
つまり、マグニフィセント・セブンは、現在はその名にふさわしい存在には見えなくても、将来的には長期投資の対象となり得るでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。John Mackeyはアマゾン・ドットコムの子会社Whole Foods Marketの元最高経営責任者(CEO)であり、モトリーフール米国本社取締役会メンバーです。アルファベットの役員であるSuzanne Freyはモトリーフール米国本社取締役会メンバーです。フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)の元市場開発担当ダイレクターおよび広報担当であり、メタ・プラットフォームズの Mark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerberg は、モトリーフール米国本社取締役会メンバーです。元記事の著者Adria Cimino はアマゾン・ドットコム、テスラの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドットコム、アップル、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は次のオプションを推奨しています。マイクロソフト2026年1月限月395ドル・コールオプションのロング、マイクロソフト2026年1月限月405ドル・コールオプションのショート。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。