東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。53円安の29,189円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ高値に下げ幅を広げると11時10分過ぎに158円安の29,084円まで下落し129円安の29,113円で前場を終えました。117円安の29,124円でスタートした後場の日経平均は13時前に172円安の29,070円まで下落し安値を付けました。しかし、その後下げ渋りやや持ち直すと結局120円安の29,122円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

本日の取引時間中に本決算を発表したトヨタ(7203)と日本製鉄(5401)が明暗を分ける格好となりました。13時55分に決算を発表したトヨタは後場に入り昨日の終値近辺で推移していましたが、2024年3月期の営業利益が半導体不足などの影響が緩和し生産台数が回復することなどで前期比10.1%増の3兆円となり最高益を更新する見通しを示したことから決算発表後に買いが優勢となりました。一時は2.5%高まで上昇し年初来高値を更新しています。一方で14時に決算を発表した日本製鉄は決算発表前まで昨日の終値近辺で推移していましたが、2024年3月期の事業利益に多額の在庫評価損が出ることなどで前期比29.1%減となる見通しを示したことから決算発表後に下落に転じ下げ幅を広げ一時10.4%安となりました。

また、昨日の引け後に本決算を発表したニトリホールディングス(9843)が一時8.9%高となり年初来高値を更新しました。2024年3月期の営業利益が13ヶ月の変則決算だった前期と比べても増益となる見通しで、減益を見込む市場予想を上回ったことから大幅高となりました。決算発表と同時に自社株買いを昨日の引け後に発表した三菱商事(8058)や横河電機(6841)も年初来高値を更新しました。三菱商事は自己株式を除く発行済み株式総数の6.0%にあたる8600万株、3000億円を上限とする自社株買いを発表したことから一時6.0%高となり、横河電機も自己株式を除く発行済み株式総数の6.0%にあたる1600万株、200億円を上限とする自社株買いを発表したことから一時15.8%高となりました。丸井グループ(8252)も一時20.8%高となり年初来高値を更新しました。長期安定的な増配の実現をめざすために株主資本配当率(DOE)を新たな指標として導入し、8%程度を目安にすると発表したことから買いを集めました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は120円安となりました。昨日の米国市場が小幅に下落となったことから下落して始まると、年初来高値を更新した翌日で利益確定の売りが出やすかったこともあり下げ幅を三桁に広げました。しかし、東証プライム市場の騰落レシオが昨日時点で143%となり買われ過ぎといわれる120%を大きく上回っていたことからすると必要な上昇一服だったともいえます。なお、決算発表が佳境を迎えていますが、本日も引け後には富士フイルムホールディングス(4901)や住友金属鉱山(5713)、パナソニック ホールディングス(6752)、三井不動産(8801)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には4月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定です。今後の金融政策を占ううえで関心の高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)