猛暑、台風、また猛暑と今年は厳しい夏、余計な不安や心配を抱えないようにしたいものです。
多くの人が、将来に渡り経済的に全く心配のないと思える人ですら、老後については漠然とした不安を感じています。「老後破綻」や「下流老人」という言葉が巷に溢れ、「普通」にしていれば関係ないだろう、と思いつつ、もしかしたら・・・と。インパクトのある言葉が独り歩きして、なぜそうなるのか、どうすればそうならないのか、という目安や公的年金はどういう仕組みなのかをほとんどの方が知らないからでしょう。
老後資金の捉え方については、直近もいくつか書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
今日は公的年金について、簡単に取り上げてみますね。
ご存知の通り、20歳以上60歳未満の日本に住んでいる「すべて」の人が国民年金に加入することが「義務」となっています。自分は厚生年金に加入していて国民年金ではないのだけれど...と思われる方もあるかもしれませんが、実は年金制度は3階建てになっています。
1.国民年金
2.厚生年金
3.企業年金等
学生や自営業、農業や漁業従事者の方等は1の加入者です。この方たちを第一号被保険者と言います。
会社員や公務員などが加入している2の厚生年金の加入者は第2号被保険者で、実は厚生年金部分は2階部分で、1階には1の国民年金(基礎年金)があります。企業によって、独自の企業年金や年金払いの退職給付金を用意している場合は、その上に3の企業年金等が乗ってきます。
つまり、企業年金のある企業に勤めている方は老後の年金額が一番多くなります。
そうした年金を老後に受け取るためには年金保険料を一定期間以上支払う必要があります。
ところで、2にあたる会社員などに扶養されている配偶者で、専業主婦やパート勤務の方は年金保険料を支払っていません。よく、そうした主婦の方はご主人が自分の分も支払っていると間違われます。この方たちは第3号被保険者と言い、支払いの義務はありませんが、老後に条件を満たせば国民年金を受け取る権利が発生します。
老後の年金を受け取るためには、加入期間中10年間は年金保険料を支払うことが条件です。
ちょうど1年前の昨年7月末までは、原則として25年以上加入しなければ老齢年金はもらえませんでしたが、10年間保険料を支払えば受給権が発生することに変更されました。保険料を支払った払込期間に応じて、受け取る年金の金額は変わり、当然、月数が多ければ多いほど年金額は増えます。
もう一つ大切なポイントは、多くの方が公的年金というと老後の老齢年金のことだけだと思っていますが、遺族年金や障害年金でもあることです。ちなみに遺族年金については、受給要件は「亡くなった人が25年以上年金を掛けていた(保険料を支払っていた)こと」と昨年時点で変更になっていませんのでご注意を。
いずれにせよ、年金加入については、前述の通り「義務」です。現役時代は加入し続けることで、自身の老後の受取金額も変わってくることをよく覚えておきましょう。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員