モトリーフール米国本社、2023年4月30日 投稿記事より
主なポイント
・株式投資における成功のカギは、時間、忍耐、粘り強さ
・どのような戦略を選好しようと、高級ワインや極上のチーズのように、それらの戦略が熟成し、成長するように十分な時間を与えることが極めて重要
・暗号資産のようなリスクの高い資産であっても、十分な長さの投資期間を設ければ、うまく分散されたポートフォリオの一部として保有することができる
投資戦略の次のステージに移行したいと思いませんか?「時間」があなたの最大の資産になることでしょう。
時間
それは打ち負かすことができないもの
対抗することができないもの
封じ込めようとすることすらできないもの
でも、それでいいのです。時間を自分の味方にすれば。
株式投資において重要なのが時間、忍耐、そして粘り強さです。ただし、市場のタイミングを計ることを言っているのではありません。ベテラン投資家ならば誰しも、市場のタイミングを計ることは、せいぜいギャンブルでしかないと言うでしょう。それよりも、長期を見据え、時間をかける方が賢明です。時間をかければかけるほど、成果は高まります。こうして複利成長の魔法を使って、財産を増やすのです。
市場の「時間」は、市場の「タイミング」を打ち負かす。つまり、長期的な利益と引き換えに、短期的なボラティリティを受け入れ、それに耐えなくてはならないということです。投資の巨匠であるウォーレン・バフェット氏は、短期的な市場の動向を予測しようともしません。なぜなら、現実は到底予測できないからです。実際、バフェット氏の有名な言葉に「望ましい保有期間は永遠だ」という言葉があります。バフェット氏はこの信条を基に、大きな成果を上げており、ここから学べることがあるはずです。
老舗の超大型株に価値を証明する時間を与える
例えば、マイクロソフト(MSFT)。40年を超える歴史があり、時と共に強くなる一方です。マイクロソフトはワシントン州レドモンドに本社を構え、現在、米国株式市場でアップルに次ぐ第2位の巨大ハイテク企業です。同社はクラウドコンピューティングと人工知能(AI)に軸足を移し、その刷新された事業計画が功を奏しています。決算発表でマイクロソフトがクラウド関連事業として業績を報告したインテリジェント・クラウド部門は、同社の最大の収益源になっています。
マイクロソフトのAzureクラウドプラットフォームがこの分野をリードし、同社のAI投資が実を結び始めています。チタンを身にまとったように強固なバランスシートは言うまでもなく、これらの高成長分野で強固な基盤を持つマイクロソフトは、いかなる短期的な嵐も乗り越え、今後数年でさらに強くなることでしょう。そして、マイクロソフトの数十年来の成長ストーリーはここで終わりではなく、これからも続くことでしょう。
リスクが高いように見えても、忍耐強く
しかし、正しい企業を選ぶことだけが投資ではありません。もっと広く言えば、重要なのは、正しい心得を持つことなのです。株式投資では、忍耐と粘り強さが重要な心得であり、長期投資においては特に重要です。
ネットフリックス(NFLX)の事例を見れば、何を意味しているのか分かるでしょう。ビデオストリーミング大手のネットフリックスはここ数年、寵児としてもてはやされましたが、常に順風満帆だったわけではありません。2011年にDVDレンタル事業をQwiksterという別会社に分離しようとした時、同社は反発に直面しました。その年のネットフリックスの株価は、滑り足は好調であったにも関わらず、61%下落しました。もしも、2011年末にデジタルストリーミングサービスのグローバル展開における革新的な価値を見抜き、ネットフリックスの株を最安値で買い、その後も持ち続けていたとしたら、その素晴らしい洞察力と聖人のような忍耐力に拍手を送るしかありません。もし当時、ネットフリックスの株を31,000ドル分買っていたら、今頃100万ドルを超える価値になっていたでしょう。
ごく最近では、ネットフリックスは新たなストリーミングサービスとの競争激化に直面し、予測不可能な経済状況に陥っています。2022年の複数の四半期では、既存会員数の減少が新規会員数を上回りました。市場がそれに反応し、2022年にネットフリックスの時価総額は51%も下落しました。しかし、こうした課題を抱えているにも関わらず、経営陣は妥協することなく、オリジナルコンテンツへの投資を続けています。
ネットフリックスの会員数増加に向けた粘り強い取り組みは、収益性の高い成長の重視にシフトしており、今後も投資を続けると予想されます。同社は2億3,300万人の会員を抱え、前四半期には、21億ドルものフリーキャッシュフローを創出しています。かつての不採算グロース株が、素晴らしいキャッシュマシーンに変貌を遂げたのです。
ネットフリックスの株価が再び大きく上昇するかは分かりませんが、同社はこれまで否定的な意見が誤りであったことを証明しており、今回も誤りであることを証明すると考えます。同社の現金収入が株価上昇を促し、忍耐強く長期間保有していた投資家は多額の報酬を得ることになるでしょう。
分散投資の美徳
効果的な長期投資のもう1つの例として、S&P500指数に連動するバンガードS&P500 ETF(VOO)が挙げられます。この効率的な運用を行うETFは10年を超える歴史があり、ポートフォリオの自動リバランスと極めて低い管理報酬のおかげで、一貫して市場に沿ったリターンを上げています。つまり、このファンドを保有するのと(実際にはできないので、理論上では)S&P500指数に直接投資するのとでは、得られるリターンはほとんど変わらないということです。
この投資の素晴らしいところは、特定の企業に賭けるのではなく、米国経済全体のパフォーマンスに賭けることができる点です。そして、歴史的に見ても、米国経済は常に不況から立ち直り、長期的に成長を続けてきました。そのため、バンガードS&P500 ETFのように広範に分散された資産に資金を投入することは、十分理に適っていると言えます。バンガードS&P500 ETFを活用することで、株式の巨大なバスケットを1つのティッカーで便利に運用することができるのです。
暗号資産も見逃せない
もちろん、今や株式投資だけが投資ではありません。ビットコイン(BTC)やポルカドット(DOT)などの暗号資産も、長期投資に相応しい資産として存在感を増しています。ビットコインは10年を超える歴史があり、繰り返しその価値を証明しています。ビットコインのトークンには発行上限があり、存在し得る数が限定されているため、長い目で見れば、究極のインフレ対策ツールとして注目されています。
そしてポルカドットは、異なるブロックチェーンネットワーク間の相互運用性の提供を目的とした新しい暗号資産で、従来の金融システムを破壊する可能性を持っています。実際、ポルカドットは、次世代公共インターネットを推進するための完璧なツールとしてWeb3 Foundationが設計したものです。次世代インターネットに投資したい場合は、ポルカドットが最も直接的な手段となるでしょう。
どんな投資にもリスクはつきものですが、暗号資産への投資は、長期投資を前提に、十分に分散されたポートフォリオの一部として保有することを検討するのが良いでしょう。これは、ビットコインのように価値に重きを置く暗号資産だけでなく、ポルカドットのように予想を根拠とした、より実用的な賭けにも当てはまります。今後は、マス市場でブロックチェーンネットワークの活用が増加することが予想されており、ポルカドットはこれを背景に今後数年間、価値が高まると考えられています。
結局のところ、時間は投資の味方
結論として、投資は時間、忍耐、粘り強さが要です。長期的なアプローチをとり、短期的なボラティリティに直面してもしっかりと立ち向かうことで、投資を成功に導くことができるのです。マイクロソフトのような老舗の超大型株、ネットフリックスのように進化し続ける企業、極めて安全なS&P500指数ファンド、刺激的な暗号資産、あるいはこれらの組み合わせのいずれに投資するにしても、重要なのは確固たる投資哲学を持ち、それを貫くことです。
少しの運と多くの忍耐が、時間をかけて財産を守り、増やすことにつながります。
そして、最後にもう一度。「時間」は長期投資家の最良の友である。この言葉を聞いたのは、これが初めてではないでしょう。ですが、この重要な信条は、何度でも繰り返し主張したいと思います。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Anders Bylundは、ビットコイン、ネットフリックス、ポルカドット、バンガードS&P500 ETFのポジションを保有しています。モトリーフール米国本社はビットコイン、マイクロソフト、ネットフリックス、バンガードS&P500 ETFのポジションを保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。