今週(4月14日~4月20日)の相場動向
相場回顧 BTC:米追加利上げ観測が高まり金とともに下落
ビットコインは、これまで逃避資産として高騰してきた金が急落し、同様に売りが強まった。米国の大手銀行決算が好調だったことでシリコンバレー(SVB)銀行破綻後の金融不安が後退し、当局者のタカ派発言もあって次回米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げへの警戒感が高まった。
上海アップグレードを通過したイーサリアムの強い値動きに支えられてビットコインもBTC=403万円(30,000ドル)付近では底堅く推移したが、4月17日には米国金利の上昇が継続する中で同水準を割り込んだ。米証券取引委員会(SEC)がバイナンスやクラーケンに続いてビットレックスを未登録の暗号資産取引所として提訴し、規制リスクも意識された。米国金利の上昇が一服すると金とともに買い戻しが強まり、イーサリアムのステーキング引き出しが落ち着いたことも好感されて一時はBTC=403万円(30,000ドル)を回復した。
しかし、米下院議員によるゲンスラーSEC委員長批判やメタマスクのハッキング疑惑によって市場の不透明感が強まる中、英国の3月消費者物価指数(CPI)が前年同月比で10%を超える上昇となり、世界的なインフレの高止まりが懸念されてリスク資産としての売りが強まり、再びBTC=403万円(30,000ドル)を割り込んだ。
テスラの2023Q1決算では保有していたビットコインを依然売却していないことが明らかになったが相場への影響は限定的となった。その後も米追加利上げ観測によって軟調に推移し、BTC=390万円(29,000ドル)付近まで価格を下げた。
来週(4月21日~4月27日)の相場予想
BTCは米ハイテク企業決算次第では弱気に転じる可能性、ETH不正流出の拡大を懸念
米国では企業の2023Q1決算発表が本格化している。好調な銀行決算や当局者発言を受けて5月の米FOMCにおける追加利上げ観測が高まる中、来週はアルファベット(GOOGL)やマイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォーム(META)、アマゾン・ドットコム(AMZM)の大手ハイテク4社の決算発表を控える。
これらの企業業績が良好となり景気の先行きへの懸念が後退した場合、米国金利の上昇とともに、これまでにもみられたように、逆説的ではあるがリスク資産の売りが強まることは考えられる。市場では6月までに1回の追加利上げが織り込まれているが、企業決算次第ではさらなる追加利上げの必要性が議論され、利上げ懸念によって相場が弱気に転じる恐れもあるだろう。
また来週は植田総裁就任後初めてとなる日銀金融政策決定会合が開かれる。イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正に注目が集まっているが、事前の就任会見では金融緩和継続の姿勢を示しており、おそらく現状維持になるだろう。ただし、今後の金融政策の方針に関する発言には要注目である。
イーサリアムのステーキング資産総額(Total Value Staked)は上海アップグレード後に約1900万ETHから約1800万ETHへ約5%程度減少していたが、直近ではステーキングの入金額が出金額を上回り、TVSは下げ止まっている。今後もビットコインのマイニングと同様にプレイヤーの参入と撤退によって変動するだろうが、ステーキング引き出しに伴う売りへの過度な懸念は後退するだろう。一方で米国では暗号資産取引所の取り締まりが続いている他、DeFiやステーブルコインを対象とした規制の議論も活発化しており、米SECによる暗号資産の登録体制見直しを含めて規制動向は引き続き注視しなければならない。
またイーサリアムのウォレットから約5,000ETHもの資産が不正流出している事件については原因がまだはっきりしておらず、ここからさらに被害が拡大した場合には売りが強まるだろう。一方、一部ではメタマスクのハッキング疑惑が広がっているため、事件の解決によって買い戻しが強まることも考えられる。
直近上値として先週高値付近のBTC=417万円(31,000ドル)、直近下値として上昇前のレンジ下限となるBTC=363万円(27,000ドル)を意識する。