ETH(イーサリアム)は、FTXショック前の水準23-25万円を突破し、一気に28万円台まで上昇しました。「上海」アップデート後、バリデータの問題(分散型ネットワークの安全性を担保するため)から引き出し制限が設けられています。この仕様を認識していなかったショートプレイヤーの損切りを巻き込んだかたちで上昇したものと見られます。

アップデート初日には12,000件を超えるアカウントから引き出し申請があったようです。このうち半数が米クラーケン取引所からのステーキングサービスによる引き出し依頼でした。クラーケンはSEC(米証券取引委員会)から同社のステーキングサービスが無登録の証券提供にあたると指摘されていましたが、和解金を支払う形で和解が成立しました。同サービス停止に伴い、クラーケンに預けられていたETHを投資家にそのまま返却しなければならないため、引き出し申請が多く集まったようです。

他のステーキングサービスもありますので、引き出したETHをそちらに移す投資家も多いと考えられます。したがって、そこまで大きな売り圧力にはつながらないと思います。

今週は、ETHのチャート分析から見ていきましょう。

ETH(イーサリアム)、週足SMA90を意識する展開

【図表1】ETH/JPY 週足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH/JPY週足チャート分析です。

下降トレンドラインは1月以降、しっかりと右側に抜けてきています。FTXショック前の高値を更新し、さらに2022年7月のセルシウス破綻報道前の高値も超えました。悪材料を全て織り込んだと言えるのではないでしょうか。

現在、SMA90(3ヶ月移動平均線)が29万円台で控えており、あとわずかで到達するレベルです。このターゲットはドル建てで2,200ドル前後の水準です。ETH/USDチャート上にレジスタンスラインが引ける重要ポイントもあるので、一度この水準を高値に目先達成感が出てくると予想しています。

この水準で2023年1月頃から購入してきたポジションを一部手仕舞いし、深い押し目買いスタンスに切り替えた方がよいのではないかと考えています。SMA30をサポートに一度押すタイミングで拾いたいイメージです。

【図表2】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

SMA30(黄色)は現在24万円台で推移しています。この角度から見ると、あと3-4日経てばサポートラインの25万5000円あたりを抜けそうです。日足トレンドラインとも重なってきそうですので、今週末あたりに押し目があれば買い戻しを検討したいところです。

29万円を超えたら、一部利益を確定し、その後トレンドラインやSMA30までの押し目を待つイメージでしょうか。MACDもまだダイバージェンスを形成していませんので、次の下落は単純な押し目になりやすいと考えています。

BTC(ビットコイン)、今週もジリ高基調が続くか

【図表3】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いてBTC/JPY日足チャート分析です。

先週は高値を更新したものの、その後勢いに陰りが出てしまいました。ドル建てで3万ドルに到達したものの、その後上値を追いかけていません。ただ、形状は悪くないのでジリ高基調が続くのではないかと思います。

今週は、386万円付近に引けるサポートラインが最初の買い場として機能すると考えています。さらにその下にはSMA30が控えていますので、次のサポートとしてSMA30を意識しています。今週は378-381万円を意識しておくとよさそうです。

ETH、BTCともに今週も買い目線を堅持したいところです。ただし、ETHについては、一部利益確定したい水準に到達したら、再度押し目買いを待つスタンスに切り替えたいと思います。