先週は米朝間で大きな展開がありました。どちらも日本には近い存在で、いざ戦争などとなれば巻き込まれることは必須。突然、米朝会談という話になったものの、不信感をお持ちの方も多いでしょう。なんといっても、似たようなタイプの指導者同士ですから。米国雇用統計の数字も予想以上ということもあり、市場は前向きの反応をしていましたが・・・。

 

日本でも景気の底堅さを伺わせる報道があります。高額商品の売れ行きが順調、上場企業の平均年間給与は5年連続の増加で、2016年決算分で初めて600万円台に(東京商工リサーチ「上場3079社の平均年間給与」調査より)等々。もちろん上場企業は全国の法人(企業)約170万社から見れば0.2%にも満たないので、大多数のサラリーマンの状況を表しているとは言えませんし、高額商品を購入している層にいたっては、ごく一部の超富裕層であることも間違いありません。故にバブル期のように老若男女全体的に浮揚感を持っているのとは異なりますが、それでも前向きなニュースが並ぶこと、不安(戦争などの地政学リスク)が減る期待は市場には明るい材料です。

 

そんな時に注意したいのが「うまい話」です。先日、知人のFPも注意喚起しており、これまでも繰り返してきましたが、あらためて取り上げてみることにしました。

「うまい話には気をつけろ」とはよく耳にしますよね。でも投資の基本を勉強していないと、何が「うまい」のか、見極めることができないことがあります。見るからに怪しげな人がすり寄ってくれば、誰でも警戒すると思いますが、大掛かりな投資詐欺を行うような集団はかなり洗練されており、口もうまく、偽のパンフレットから書類、HPまでも周到に準備していたりします。つまり「見た目」だけですぐに判別できなかったりする可能性も高いのです。

 

覚えておくべき投資の基本は以下の通り。

・ 日本円建ての元本保証の高利回り

日本の超低金利はご存知の通り。高利回りを狙うには高リスクはつきもの。元本保証(無リスク)で高利回りなどあり得ません。リスクはつきものです。

・ 海外投資なのに元本保証で高リターン

海外に投資すれば為替リスクが発生します。外貨建て債券などで為替のヘッジをすれば、為替予約は金利差分支払うものなので、利回りは円の利回りになり、高利回りにはなりません。海外の株式投資ならなおのこと元本保証はありえませんよね。

・ ここだけの話、ごく一部の人にしか紹介しない投資

そんな技があれば紹介なんてしませんよね。常套句です。一番怪しい。

 

これだけ低金利の世の中で、投資でリターンを得ている人は、相応のリスクを取っているということです。無リスクで元本保証、高利回りは現時点で金融商品として成り立たないのです。春になり、「うまい話」もムクムクと出てくるかもしれませんが、どうぞ毅然とした態度で対応してくださいね。

 

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナーCFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員