モトリーフール米国本社、2023年4月10日 投稿記事より

主なポイント

・2023年中に景気後退入りする可能性が高まっている
・しかし、株式市場については楽観視する正当な理由がある
・正しい投資戦略は、ボラティリティが高い時も資産を守ってくれる

不況下で資産を守る方法

2023年中に景気後退入りする可能性が高まる中、投資家にとって、ここ1年間とは比べものにならないほどの困難が待ち受けている可能性があります。

専門家の間では何ヶ月も前から、景気後退入りの可能性について議論されてきました。JPモルガン・チェースのアナリストが3月に発表したレポートによると、2023年末までに景気後退入りする確率は、今や50%を超えています。

どのような形であれ、経済の不確実性は気が滅入るものであり、特にこの1年間のように株式市場の大きなボラティリティを経験した後ではなおさらです。しかし、伝説の投資家であるウォーレン・バフェット氏の確かなアドバイスに従えば、困難を乗り越えられるかもしれません。

短期的なボラティリティよりも重要なこと

景気後退が予想される今、米国人の多くは将来について不安を感じていることでしょう。しかし、バフェット氏は不安など感じていません。それには正当な理由があります。いつだって重要なのは短期的な浮き沈みではなく、市場の長期的なパフォーマンスだからです。

大不況のピークにあった2008年、バフェット氏はニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、市場の未来について自らの見解を述べました。

「恐怖が蔓延し、ベテラン投資家も不安に駆られている。しかし、米国内に数多く存在する健全な企業の長期的繁栄にとって、恐怖など無意味である。こうした企業も一時的に利益が落ち込むかもしれないが、それはこれまでにも経験してきたことだ。ほとんどの大企業は、今から5年後、10年後、20年後に過去最高益を更新しているはずだ」

この予想は的中し、S&P500指数は過去最高値を更新し続け、2009年から2020年にかけて史上最長の強気相場となりました。

過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありませんが、たとえ深刻な不況に陥ったとしても、市場が回復し、プラスのリターンを生み出す可能性は極めて高いと言えます。

投資を続けるべき理由:バフェット氏のアドバイス

市場がいずれ不況を乗り越えると分かっていても、さらに下落するかもしれない株に資金を投入し続けるのは不安でたまらないはずです。そのような時は、市場が落ち着くまで投資を控えたくなるものです。

しかし、それはかえって高くつく可能性があります。市場は先を見越して動くため、通常は景気が落ち込む前に荒れ相場となります。投資家が景気後退を懸念すれば、景気後退が始まるよりずっと前に株価は下落するものです。

一方で、その逆もまた然りです。最悪期が過ぎれば、経済が改善の兆しを見せる前に市場は回復し始めます。つまり、不況が終わるまで投資を待っていたら、次の強気相場の初期段階を見逃すことになりかねません。

そのため、バフェット氏は投資家に対して、市場が荒れている時も投資し続けることを推奨しています。

同氏はニューヨーク・タイムズ紙への寄稿記事の中で、「1ヶ月先や1年先に株価が上昇しているか、それとも下落しているかなど、私には見当もつかない。しかし、センチメントや経済が上向くよりもはるか前に、市場が上昇、しかも大幅に上昇している可能性は極めて高い。コマドリが鳴くのを待っていたら春は終わってしまう」と書いています。

今すぐできる資産の守り方

バフェット氏のアドバイスの中で最も優れているのは、具体的にどこに投資するかという点でしょう。すべての銘柄が不況を乗り切るとは限りませんし、間違った所に投資すれば、とんでもない損失を被ることになります。反対に、正しい投資は、ボラティリティの高い時も資産を守ってくれます。

バフェット氏は、バークシャー・ハサウェイの株主に宛てた2021年の手紙の中で、自身と同氏のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガー氏が銘柄を選ぶ際の考え方について、次のように述べました。

「われわれは、企業の長期的な業績見通しに基づいて株式を保有しているのであって、市場のタイミングを見計らった投資手段として考えてはいない。この点は極めて重要である。チャーリーと私は、株式を選んでいるのではなく、企業を選んでいるのだ」

最も優れた株式とは、盤石な財務基盤や優秀な経営陣といった、強固なファンダメンタルズを持つ健全な企業の株式を指します。このような企業は不況に耐える公算が大きく、ポートフォリオにこうした銘柄が多ければ多いほど、より良い結果になるはずです。

今後数ヶ月の市場動向は誰にも分かりませんし、それはたとえバフェット氏であっても同様です。状況が好転する前に、さらに悪化する可能性もあります。しかし、いずれ必ず回復します。それまで我慢し、株価が下落している時に投資し続ければ、市場がやがて回復した時に大きな利益を手にすることができるはずです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。JPモルガン・チェースは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Katie Brockmanは、記載されているどの銘柄のポジションも保有していません。モトリーフール米国本社はバークシャー・ハサウェイ、JPモルガン・チェースの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。