【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 33,646.50  ▼38.29 (4/12)
NASDAQ: 11,929.34  ▼102.54 (4/12)

1.概況

米国市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で金融システム不安の高まりが経済に悪影響を及ばす可能性が指摘されたことで景気減速リスクが改めて意識され下落となりました。79ドル高でスタートしたダウ平均は3月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが前月から鈍化し市場予想も下回ったことで上げ幅を広げ朝方に210ドル高近くまで上昇しました。その後伸び悩むと昼前にマイナスに転じましたが、60ドル安程度で下げ渋ると持ち直し取引終盤に再び210ドル高まで上昇しました。

しかし、FOMC議事要旨を受けて引けにかけて上げ幅を急速に縮めるとマイナスに転じ結局38ドル安の33,646ドルで取引を終え5日ぶりに反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も102ポイント安の11,929ポイントと3日続落となりました。

2.経済指標等

3月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.0%上昇となりました。伸びは前月から鈍化し市場予想も下回りました。また、3月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では参加者が金融システム不安により銀行の信用供与が予想以上に減り、経済活動を大きく抑制する可能性があるとの見解を示していたことが明らかになりました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち一般消費財・サービスやコミュニケーション・サービス、情報技術などの7業種が下げ、一般消費財・サービスは1%を超える下落となりました。一方で資本財・サービスやエネルギーなどの4業種が上げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではウォルト・ディズニー(DIS)が2%を超える下落となったほか、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)とアメリカン・エキスプレス(AXP)、IBM(IBM)、ホーム・デポ(HD)、インテル(INTC)、シスコシステムズ(CSCO)も1%以上下げました。一方でダウ(DOW)とメルク(MRK)が1%以上上げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、アメリカン航空グループ(AAL)が業績速報で売上高が市場予想を下回ったことで9%を上回る下落となりました。ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)やデルタ航空(DAL)にも売りが波及し、ユナイテッド航空ホールディングスが6%以上下げ、デルタ航空も2%を超える下落となっています。

5.為替・金利等

長期金利は3月の米CPIの伸びが前月から鈍化し市場予想も下回ったことで米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続観測が後退し0.04%低い3.39%となりました。こうしたなかドル円は円高に振れ133円台前半で推移しています。一時は132円台後半まで円高が進む場面もありました。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安と円高を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の28,000円を割り込みそうですが、28,000円を下回ったところで押し目を拾うような動きがみられるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)