最近、何かと新聞やニュースを賑わしているものの一つに仮想通貨投資があります。以前は経済欄だけ、一部の人の間での話題でしたが、ビットコインの取引所「マウントゴックス」から大量のビットコインが流出、2015年にCEOが逮捕された事件により、皮肉にも「仮想通貨」の認知度は上がりました。
最初にビットコインについて当コラムで取り上げたのは2014年3月でした。 第350回 「話題のビットコインって?」

そして2016年3月に再び書いています。 第442回 「仮想通貨・・・ついに!」

世間一般への登場が上記のような流出事件だったこともあり、セキュリティに対する不信も含め、当初はリスクの高い投資との認識を持つ人が大勢だったと思います。
ところが、その将来性への期待の方が大きいということなのか、仮想通貨は種類を増やし、仮想通貨同士の取引を含め、市場を拡大していき、2017年にはその高騰によりあっという間に市場規模が大きくなりました。世の中の経済の動きに関係なく、単にオンラインゲーム感覚で「ハマる」人が増え、短期間で一気に儲けた人が続出、SNSによる拡散で、「自分も」という参加者を急拡大させました。博打的、投機的な位置づけであることは想像に難くありません。
オンラインのみならず、現実の店舗でも支払い可能という所も出てきて、ますます存在感が大きくなってきたところで、再び「マウントゴックス」事件を上回る金額が流出するという事件が起こったのはご存知の通り。

仮想通貨については法整備、税法整備が現実を追いかける形で進められていますが、現実世界はそれを超える勢いで進化・拡大してしまっているようです。
4年前に最初に取り上げたときにも、私個人としては仮想通貨に対して完全否定はしていません。将来的に世界共通の、どこの国家にも属さない「通貨」として、規制等ソブリン・リスクに縛られない存在になる可能性はあるとは思います。
ただ、現時点で、参加者が一種ギャンブルとして相場を動かしている状況、そしてあまりにも手軽であるが故のセキュリティの脆弱さ、を考えると個人投資家に投資の一部として保有することを勧める状況にあるとは思えません。

通常の投資ですら、一点集中投資はリスクが高過ぎるためしないように、と警鐘を鳴らしていますが、こうした仮想通貨に資産の多くを集中投資させてしまっている人が、特にオンラインゲーム等に馴染んでいる世代には多く見受けられるようです。
「手軽なお金儲け」に見え、参加の敷居も低いのかもしれませんが、そもそもお金儲けに「手軽」はありません。投資であれば、きちんと勉強をして相場と向き合っていけますが、投機はイチかバチかです。
投資でも、行き過ぎればもちろん痛い目にも遭いますが、リスクを分散、軽減することが事前準備としてできます。投機との違いは心得ておきたいですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員