東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発しました。米国株安を受けて58円安の26,346円で寄り付いた日経平均は直後に84円安の26,320円まで下落しましたが、下げ幅を三桁に広げることなく下げ渋るとまもなくして買いが優勢となり11時過ぎに66円高の26,472円まで上昇しました。しかし、節目の26,500円を前に伸び悩むと前引けにかけて上げ幅を縮め6円高の26,411円で前場を終えました。20円高の26,425円でスタートした後場の日経平均はさらに買いが優勢となり上げ幅を三桁に広げると結局148円高26,553円で取引を終え高値引けとなりました。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

AGC(5201)が3.2%高となりました。塩化ビニールなど化学品の市況が下期に悪化したことなどで2022年12月期は営業利益が前期比で1割減の1900億円前後になったと伝わりましたが、2023年12月期は自動車向けガラスの生産回復が進み、ガラス部門の採算が改善することなどから営業増益となる見通しと伝わったこともあり買いが優勢となりました。ユーグレナ(2931)も6.2%高となりました。

新株と新株予約権付社債(転換社債)の発行でマツダ(7261)など4社から計約78億円を調達し、約69億円をマレーシアで建設を予定するバイオ燃料の製造プラントの関連資金に充てると発表したことで収益の拡大を期待した買いが入りました。エーザイ(4523)も一時3.9%高となりました。米イーライ・リリー(LLY)のアルツハイマー型認知症治療薬が米食品医薬品局(FDA)から早期承認を見送られたことで、米バイオジェン(BIIB)と共同開発しFDAから迅速承認されたアルツハイマー病治療薬を持つエーザイに物色の矛先が向かいました。

また、岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染症法上の扱いを巡り季節性インフルエンザと同じ「5類」へ今春に移すよう指示したことで今後さらに人流の回復が見込まれることから空運株が高く、日本航空(9201)が4.2%高、ANAホールディングス(9202)も2.3%高となりました。さらに投資判断と目標株価の引き上げを受けてゼネコン大手の大成建設(1801)や清水建設(1803)、鹿島建設(1812)が高く、大成建設が4.6%高、清水建設が3.3%高、鹿島建設も3.1%高となりました。一方で再生可能エネルギー専業のレノバ(9519)が目標株価の引き下げを嫌気し2.8%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は148円高となりました。米新規失業保険申請件数が市場予想に反して改善したことで米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続による景気減速を警戒した売りが出て昨日の米国市場が続落となったことで下落して始まりました。

しかし、5日移動平均線(26,342円)を小幅に下回ったところで下げ渋ると買いが優勢となり、上げ幅を三桁に広げ節目の26,500円や25日移動平均線(26,498円)を回復しました。高値引けと強い終わり方となったこともあり週明け以降の堅調な展開に期待が持てそうですが、来週は日本電産(6594)が24日に決算を発表するなど3月決算銘柄の第3四半期決算発表が徐々に本格化します。そのなかで決算発表などを支えにここからさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)