先週は10月の中国の各種経済指標が発表されました。主なところを見てみると、10月の鉱工業生産は前年同月比9.6%増(9月は9.2%増、市場予想は9.4%増)、小売売上高は14.5%増(9月は14.2%増、市場予想は14.4%増)、1-10月の都市部固定資産投資は前年同期比20.7%増(1-9月は20.5%増、市場予想は20.6%増)となり、共に前月実績や市場予想を上回りました。また、10月の消費者物価指数は前年同月比で1.7%増(9月は1.9%増、市場予想も1.9%増)、卸売物価指数は2.8%の低下(9月は3.6%の低下、市場予想は2.7%の低下)とこちらも前月や予想以上に物価が落ち着いているということを示しており株式市場にはプラスです。物価の落ち着きは金融緩和の余地を拡大させます。

前回お伝えした製造業景況指数(PMI)に続き、これらの経済指標は中国経済が7-9月期で底を打ったかのような兆候と見て取れます。もっとも、これらの経済指標発表後の上海総合指数と深セン総合指数は横ばいの推移に留まっています。依然として11月8日に開幕した第18回共産党大会に絡んで経済支援策や金融緩和策が出てくるのを市場は待っている模様です。また、米国の「財政の崖」についての懸念や、それを理由に米国株が軟調な局面が続いていることも株価が奮わない原因となっています。

ちなみにここまで大きく上昇してきた香港H株指数も先週は反落となっています。もっとも、短期的に大きく上昇してきたので、やや過熱感があるところでしたから、先週の反落はある意味自然なものと言えると思います。前回指摘した米国のQE3による香港への資金流入圧力は続いておりますし、ここまでに書いてきたように中国経済の底打ち期待は高まってきております。そのような状況ですから、現在の調整がもう少し続いて、程よく過熱感がなくなってから先々週につけた高値を更新してくれば、ファンダメンタル的にもテクニカル的にも非常に面白い局面になるのではないかと思います。しばらく香港株からは目が離せないところです。