東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は続伸となりました。日経平均は米国株安を受けて121円安の26,357円で寄り付くと直後に165円安の26,312円まで下落しましたが、持ち直すと10時10分過ぎにプラスに転じ11時20分前に205円高の26,684円まで上昇すると185円高の26,664円で前場を終えました。233円高の26,711円でスタートした後場の日経平均は直後に234円高の26,713円と本日の高値を付けた後上げ幅を縮めると結局164円高の26,643円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

すかいらーくホールディングス(3197)が4.9%高となり年初来高値を更新しました。ファミリーレストランのガストやバーミヤンなどの5業態で全体の5割の商品を値上げすると発表したことで収益の改善を期待した買いが入りました。サカタのタネ(1377)も一時16.1%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。海外での卸売事業が好調だったことなどで2022年5月期の営業利益が前年の水準を上回ったほか、2023年5月期も小幅ながら営業増益となる見通しで、増配を発表したこともあって買いを集めました。吉野家ホールディングス(9861)も6.3%高となり年初来高値を更新しました。まん延防止等重点措置が解かれて店内飲食の需要が回復し吉野家で高付加価値商品が売れたことなどから第1四半期の営業損益が黒字に転じたことが好感されました。リサイクルショップのトレジャー・ファクトリー(3093)も一時13.6%高となり年初来高値を更新しました。第1四半期の営業利益が前年同期比で2.2倍となり上期の会社計画を上回ったことで業績の上振れを期待した買いが入りました。また、投資判断や目標株価の引き上げを受けて買われたのがスズキ(7269)や再生可能エネルギー事業を手がけるレノバ(9519)で、スズキが投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.2%高となり、レノバも目標株価の引き上げを受けて一時3.7%高となっています。

一方でメガネチェーンのジンズホールディングス(3046)が16.0%安となり年初来安値を更新しました。国内で新型コロナウイルス感染拡大対策の行動制限が解除されたものの売り上げが想定ほど回復しなかったほか、海外事業も中国での都市封鎖の影響を受けたことなどから2022年8月期の業績予想を下方修正したことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は164円高となりました。6月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回ったことで米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め加速を警戒した売りが出て昨日の米国市場が続落となったことで下落して始まりました。しかし、朝方の売り一巡後に持ち直すと、米CPIの発表を大きな波乱なく通過した安心感もあり上昇に転じ上げ幅を三桁に広げました。25日移動平均線(26,480円)や節目の26,500円を超えてきましたが、こうしたなかでマイナスからプラスに転じた堅調な地合いを明日も維持しさらに水準を切り上げ75日移動平均線(26,884円)などを上回ることができるかがポイントとなりそうです。

なお、小売り企業の決算発表が続いていますが本日も引け後にファーストリテイリング(9983)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や6月の米卸売物価指数(PPI)が発表される予定です。さらに米国では4-6月期の決算発表がスタートしますが14日はJPモルガン・チェース(JPM)やモルガン・スタンレー(MS)などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)