米ドル/円 日足
週間予想レンジ:129.00~132.00
メインストラテジー:押し目買い
・調整波の値幅限定へ
・強気構造に影響なし
・円買いの限界しっかり
アナリシス:
先週は陰線で大引けし、週足では「9連陽」後初めて陰線引けとなっただけに、米ドル/円相場は健全な調整と言える。高値圏での保ち合いで、レンジ形成が先行するなら、先週のような一旦調整もその一環なので、基本的にサプライズとは言えない。
もっとも、先々週米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後、米大幅利上げはマーケットの想定通りであり、またインフレの高騰も市場の織り込み済みなので、米株続落を受けた円買いが非常に限定されたと思う。なにしろ、米ドル自体はリスクオフの流れで大きく買われ、主要外貨対米ドルの急落につられた形で主要クロス円の大幅調整をもたらしたが、米ドル/円への影響は限定的であった。強気構造の維持や継続、リスクオフの試練を受けた上、すでに証明され以上、調整波の深押しを期待すべきではないだろう。
この意味合いにおいては、従来の見方の維持で、先週の反落があっても実に「新味なし」。さらに、先週の反落があったからこそ、強気変動がより健全化された側面を重視したい。2015年高値のブレイクを果たした時点で、2011年安値(米ドル最安値)を起点とした大型上昇波の延長を決定したため、雄大なトレンドの一段継続が示唆されたことは繰り返し解説してきた通りであり、調整波の先行があっても高値圏での変動を維持できる公算が大きい。
もっとも、4月第1週の陽線引けは、3月最終週の値幅のなかで「孕まれる」形で「インサイド」を形成していたため、その後の高値更新は同サインの上放れを意味し、強気サインとしてさらなる上昇余地を示したわけで、4月末までの続伸は当然の結果とみている。また、先々週も陽線引けであったが、高値更新できなかったため、先週の陰線引けがあっても調整波の一環としてむしろ自然な成り行きとみている。
リスク回避先として、円の地位消失や日米金利差などすでに繰り返し解説してきた。このような基礎的な要素以外に、最近浮上した2つの要素も見逃せない。1つは米ドル全面高の背景、もう1つは日銀の指値オペ(金利上昇阻止)である。前者に関しては、コロナショック時の高値更新を果たした米ドル指数の値動きでみれば一目瞭然であり、言ってみれば従来の円安という側面以上に、米国の22年ぶりの大幅利上げで米ドル高の側面が鮮明になってきた。後者に関しては、4月末に日銀の金利上昇抑制姿勢を再度確認する形で、3月末と同じ構図で円売りの安心感につながったわけで、米ドル/円の下限は限定されるだろう。
3月28日に日銀の連続指値オペがあって、円安がさらに加速され、一時125.11円をトライし、2015年高値の125.86円に迫った。従って、4月末の日銀スタンスの再確認で円売りの安心感が再度強まり、また米ドル全面高における米ドル買い、またリスク回避先として米ドルが選好された側面もあったからこそ、先々週まで連騰したわけだ。米大幅利上げ観測の高まりで円安恐怖さえ引き起こしたわけだが、円ロング筋の総踏み上げといった内部構造と別の構造上の要素も浮上してきただけに、しばらくは上値の限界を値ごろ感では判断できない。先週の反落をあくまでスピード調整と位置付けるなら、この点はなお重要視され、性急な頭打ちは判断できない。
日足では、4月20日~25日の罫線が「インサイド」のサインを形成し、4月26日に一旦下放れを果たした。しかし、下値トライが続かず、4月19日大陽線の安値(126.96円)前後にて反騰し、4月27日の大陽線自体が「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯したからこそ、4月28日のさらなる続伸や高値更新に繋がったわけで、4月29日の反落があっても、あくまで強気変動におけるスピード調整とみなした。早期終値をもって127円関門に下らない限り、強い構造を維持し、安易な頭打ちを判断できない。だからこそ、4月27日の反発に続き、4月28日の大幅上昇で一旦高値を更新した。
5月9日の高値トライは、一旦失敗した形で5月12日の大幅続落につながったが、前述の予想範囲内に留まり、スピード調整の位置付けは不変である。5月13日の切り返しで目先としては再度「インサイド」を形成したため、その上放れがあれば、再度5月9日高値の131.36円にトライするだろう。5月9日の罫線に「フォールス・ブレイクアウト」の意味合いがあったとみなすなら、これからの高値トライやブレイクをもって一転して上昇波を加速させる存在になるため、上値トライがあれば、引き続き上昇波に便乗するタイミングとみている。
もっとも、130円心理関門以上の定着があれば、2002年高値の135.16円まで大した抵抗ゾーンは見つからず、これから達成されるだろう。調整波の先行があっても限定的であれば、135円大台の打診もより現実的になる。そのため、強気スタンスを維持していきたい。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:89.00~93.00
メインストラテジー:押し目買い
・中段保ち合いはさらに大型化
・強気構造維持でも波乱
・豪ドルの優位性は不変
アナリシス:
豪ドル/円相場は先週大幅続落し、一旦87円前半をトライ、調整波のさらなる進行を果たした。そのため、先々週の足型は「スパイクハイ」であっただけに、先週の急落は4月からの流れを強化しており、調整波の深押しを果たしたわけだ。この意味合いでは、すでに調整済か、これから調整波の一段進行があっても下値限定であり、調整波自体の「行き過ぎ」を有力視している。
一旦調整の継続を警戒していただけに、調整波自体はサプライズではない。4月20日に一旦高値更新し、95.77円をトライしてから反落、93.05円にて大引けし、同週の週足では典型的な「スパイクハイ」のサインを点灯した。このようなサインに鑑み、一旦頭打ち、また調整の可能性が大きかったため、調整波の大型化、また目先まで延びること自体は、許容範囲から大きく離脱したと言えない。
4月第3週の足型が弱気のサインと解釈された原因の1つは、同週の「スパイクハイ」の足型のみではなく、3月28日から3週間に渡って形成された「インサイド」のサインが同週にて一旦上放れしたにもかかわらず、その後反落や陰線引けとなり、「ダマシ」のサインとして警戒されたことだ。この意味合いにおいて、先週の大幅続落は、同サインの効き目がなお有効であることを証明している。
3月末大幅続伸は、4月初頭まで連続9週間の上昇を果たし、94円関門のトライも大きな成果であった。その後の反落は、90円後半に留まった上、91円後半にて大引けしたことで小幅調整の完成を暗示し、また急騰したからこそ強気基調の維持に繋がった。3月28日に日銀のオペを受けた円の一段急落は、「行き過ぎ」を示したものの、その後あくまでスピード調整の先行となり、頭打ちを認識できるまで程遠かったため、3月末から4月半ばまでの陽線引け自体が証拠となったわけである。
従って、4月第3週の高値更新は、本来「インサイド」の上放れとなり、さらなる上昇モメンタムの加速や上昇余地の拡大に繋がるはずだったが、一転して反落、週足では陰線で大引けし、日足では4月19日から4月22日までの罫線で、「宵の明星」のサインとなった。また、3月末から形成されてきた「上昇トライアングル」の上放れも「ダマシ」と化した可能性を示唆した。深押しに繋がってもおかしくなかったことも警戒してきた通りであり、先週の反落加速は、同シナリオの一環と割り切るしかない。
調整波自体の位置付けは繰り返し解説してきた通りであり、ブル基調自体の否定に程遠いことも繰り返し強調してきた。豪ドルの強気変動には見逃せない2つの決定的なポイントがある。1つは地政学リスクの強まりで原油、穀物をはじめ商品相場の急騰であり、もう1つは主要外貨のうち、豪ドルの強さが先行されてきたところである。4月に入ってから、確かに豪ドル/米ドルの調整が大きく、またそれにつられた形で先週まで豪ドル/円の調整が見られてきたが、スピード調整自体がむしろ歓迎され、ブルトレンドの健全化に繋がっている、というメインの見方は不変である。主要外貨のうち、円は最弱な位置付けを維持しており、相対的に豪ドルの優位性がなお維持されるはずだ。
日足では、4月20日から大型ジグザグ変動の構造を示し、4月26日から一旦切り返し、5月5日に94円関門のトライがあったが、結果的に同日にて反落、「弱気リバーサル」のサインに近いシグナルを点灯した。そのため、その後の急落、また5月11日の「スパイクハイ」のサインもあって、5月12日の大陰線を形成させた。しかし、深押しの進行がすでに確認された以上、目先の5月12日と5月13日の罫線で示した「インサイド」のサインは、再度下放れの可能性が低下し、これから上放れを果たして今週の基調を改善していくだろう。
先々週の豪利上げに関する反応は、米大幅利上げや米株の波乱に「流される」形で豪ドルを押し上げる効果が限定的だったことも先週の大幅続落をもたらしたとみている。しかし、予想以上の利上げ幅や利上げ継続の中銀スタンスに鑑み、これから継続的に豪ドルの下値を支え、基調の好転に繋がるだろう。大きなレンジの一環として先週の安値トライ自体がすでに「行き過ぎ」であり、今週修正されるとみている。
90円心理大台に乗せて以来、豪ドル/円は事実上新たな変動範囲に入り、4月に95円後半までの打診がその前触れとみなされ、同週の「ダマシ」のサインがあってもなお途中経過とみている。より長い視点において、90円心理関門を下回らない限り、遅かれ早かれ96~98円といった従来の上値ターゲットに照準を当てた見方を維持したい。強気変動における「ダマシ」は、往々にして頭打ちやトレンド反転のサインではなく、あくまで途中の速度調整となりがちなので、これから証明されるとみている。