東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて大幅反落となりました。298円安の26,705円で寄り付いた日経平均はまもなくして270円安の26,732円までやや戻した後大きく下げ幅を広げると10時過ぎに660円安の26,343円まで下落しました。その後一旦10時40分過ぎに504円安の26,498円まで持ち直しましたが、節目の26,500円を前に上値は重く前引けにかけてやや下げ幅を広げると593円安の26,410円で前場を終えました。567円安の26,436円でスタートした後場の日経平均は12時40分過ぎに526円安の26,477円までやや持ち直した後下げ幅を広げると大引け間際に694円安の26,309円まで下落し結局684円安の26,319円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が3.2%安となっています。

2.個別銘柄等

ヤマダホールディングス(9831)が20.5%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済株式総数の23.9%に当たる2億株と1000億円を上限とした大規模な自社株買いを発表したことで買いを集めました。同じく家電量販店のノジマ(7419)も11.7%高となり年初来高値を更新しました。2022年3月期の配当を引き上げたほか、2023年3月期の営業利益が増益に転じる見通しを発表したことで買いが膨らみました。ヒロセ電機(6806)も3.7%高となりました。産機および自動車向けを中心にコネクターの販売が伸びることなどから2023年3月期の営業利益が前期比で7.9%増となる見通しを発表し市場予想も上回ったことが好感されました。また、11時30分に決算を発表した川崎汽船(9107)が7.8%高となりました。2023年3月期に減配となる配当予想を発表しましたが、1000億円以上の追加的な株主還元策を検討するとしたことで後場に上げ幅を広げました。

一方でJFEホールディングス(5411)が7.1%安となりました。鉄鋼原料や鉄鋼市況の先行きが不透明なことなどを理由に2023年3月期の業績予想の公表を見送ったことで業績の先行き不透明感を嫌気した売りが出ました。日本製鉄(5401)や神戸製鋼所(5406)といった他の大手鉄鋼株にも売りが波及し、日本製鉄が5.1%安、神戸製鋼所も3.3%安となっています。日本製鋼所(5631)も18.8%下落しストップ安となり年初来安値を更新しました。子会社の日本製鋼所M&Eが生産した鉄鋼部材で検査不正があったと明らかにしたと伝わったことで売りが膨らみました。さらに決算が最終赤字となったことで先週末の米国市場で米アンダーアーマー(UA)が26%近く下げたことからアシックス(7936)やデサント(8114)に連想売りが出ました。アシックスが6.7%安、デサントも5.9%安となり揃って年初来安値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は684円安となりました。米雇用統計を受けてインフレへの警戒感が強まり先週末の米国市場が続落となったことで売りが優勢となりました。先週末に回復した節目の27,000円を割り込み大きく下げ幅を広げる展開で、節目の26,500円も下回りました。先月から27,000円を上回ると押し返される展開が続いています。そのため27,000円を超えたところでの上値の重さが改めて意識されそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)