東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は4日ぶりに反落となりました。394円安の38,065円で寄り付いた日経平均は直後に330円安の38,129円を付けた後下げ幅を大きく広げると10時50分前に737円安の37,722円まで下落し641円安の37,818円で前場を終えました。

683円安の37,776円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げ14時40分に855円安の37,604円まで下落すると結局831円安の37,628円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

エーザイ(4523)が一時4.0%高となりました。米バイオジェン[BIIB]が発表した決算でアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の販売が大きく伸びたことが明らかになったことで、レカネマブを共同開発したエーザイにも物色の矛先が向かいました。

本決算を発表した日本航空電子工業(6807)も一時15.4%高となりました。2025年3月期の営業利益が前期比で17.9%増となる見通しを示したことや、消却前の発行済株式総数の23.83%にあたる2200万株の自社株を消却すると発表したことで買いを集めました。

水晶デバイス大手の大真空(6962)も一時9.2%高となりました。為替レートが想定よりも円安で推移したことなどから17億円とみていた2024年3月期の経常利益の見通しを31億円に上方修正したことで大幅高となりました。

一方でキヤノン(7751)が一時8.6%安となりました。レンズ交換式デジタルカメラやインクジェットプリンターが不振だったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で5.2%減となったことで売りが膨らみました。

本決算を発表したファナック(6954)も一時5.6%安となりました。電気自動車(EV)関連投資の鈍化でロボット部門の受注が低迷し、製品の在庫調整が長引くとみられることから2025年3月期の営業利益が前期比で14.7%減となる見通しを示したことで売りが優勢となりました。

パナソニックホールディングス(6752)も一時5.2%安となり年初来安値を更新しました。エナジーの車載電池事業において過去の製造不具合品対応に関する引当計上があったことや、オートモーティブの一部の事業に関連するのれん減損損失を計上したことなどにより2024年3月期の営業利益も見通しを4000億円から3600億円に下方修正したことで大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は831円安となりました。昨日に900円以上上げた反動で売りが優勢となりました。また、昨日の米国市場で取引終了後に決算を発表したフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ[META]が時間外取引で大幅安となったこともあり下げ幅を大きく広げ、昨日に回復した節目の38,000円や75日移動平均線(38,121円)を大幅に割り込みました。そのため調整一巡への期待が一旦後退しそうです。

なお、日米で決算発表が本格化しています。日本では本日も引け後に信越化学工業(4063)やアステラス製薬(4503)、富士通(6702)、ディスコ(6146)、キーエンス(6861)などが決算を発表する予定で、25日の米国ではインテル[INTC]やマイクロソフト[MSFT]、グーグルの持ち株会社であるアルファベット[GOOGL]、キャタピラー[CAT]などが決算発表を予定しています。

さらに日本時間の本日21時30分に1-3月期の米実質GDP速報値や米新規失業保険申請件数が発表されるほか、明日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表となります。現状維持が大方の見方ですが、わずかながら追加利上げに踏み切るとの見方もあることから結果が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)