モトリーフール米国本社、2022年3月28日投稿記事より

最新テクノロジーを支える高性能のコンピューターチップが、ポートフォリオの価値も高めてくれるかもしれない

私たちが日々使っているテクノロジーは、ますます高性能化する半導体によって支えられており、半導体業界は大きな成長局面を迎えています。

デジタル化が進むにつれて、仮想資産にアクセスするためのデバイスは、より速く、より賢く、より直感的であることが求められています。これは、スマートフォンやコンピューターはもちろんのこと、半導体の進化によって自動運転が可能になった自動車も同様です。

しかし、半導体業界は幅広く、投資家に提供される投資機会もさまざまです。2030年代に入る頃には、セクター全体の市場規模は1兆ドルを上回っているかもしれません。以下では、異なる分野で事業を展開し、長期保有の有力候補となりそうな半導体関連企業2銘柄を紹介します。

アクセリス・テクノロジーズ(ACLS)

半導体業界は、単にチップを作るだけではありません。世界のトップメーカーに高性能の製造装置を提供することで、半導体を取り巻くサブセクター全体が繁栄しており、アクセリス・テクノロジーズもそうした企業の1社です。アクセリス・テクノロジーズのイオン注入装置は半導体の製造工程において不可欠であり、同社の製品に対する需要は急増しています。

パンデミックをきっかけにアジアや欧州で製造が一時的に停止した影響で、半導体や関連部品の不足が生じました。大手半導体メーカーは供給不足に対応するために、競い合うように生産能力を拡大し、その中でアクセリス・テクノロジーズの装置は重要な役割を果たしています。同社は2021年9月以降、アジアや欧州向けにイオン注入装置「Purion」を大量に出荷していることを、相次いで発表しています。

2021年の業績は目覚ましく、売上高は前年比39%増の6億6,200万ドルでした。年間売上高が6億5,000万ドルを上回ったのは初めてで、会社側の予想より2年前倒しでの達成となりました。利益も申し分なく、2021年の1株当たり利益(EPS)は同97%増の2.88ドルでした。

こうしたことから、アクセリス・テクノロジーズの株が半導体セクターの中でトップクラスのパフォーマンスとなっているのも驚くことではありません。同社の株価は2020年3月に付けたパンデミックの底値から477%も上昇しています。しかも、株価収益率(PER)は27倍で、ハイテク企業を中心に構成されるナスダック100指数の32倍と比べると、依然として21%も割安です。

さらなる魅力として、アクセリス・テクノロジーズは最近、株主還元の一環として1億ドルの自社株買いプログラムを発表しました。同社は2019年以降7,500万ドルの自社株買いを実施しており、今回の発表は、今後も好調な業績を維持することができるという会社側の自信の表れと言えます。

足元の時価総額はわずか26億ドルであり、長期的に年数兆ドルの市場規模が見込まれる業界においてアクセリス・テクノロジーズには十分な成長余地があります。

エヌビディア(NVDA)

エヌビディアは、単なる半導体メーカーを超えたトップクラスのメーカーです。同社のグラフィックス・カードは、ゲームやデータセンターなどの用途や、「エヌビディア・オムニバース」を通じた仮想空間の構築において最も需要の高い製品です。同社は世界初の人工知能(AI)スーパーコンピューターを開発し、AIの進歩におけるパイオニアと見なされています。

ゲーミング事業は、2022年1月期の全社売上高269億ドルのうち124億ドルを占める最大のセグメントであり、そのイノベーションはハードウェアにとどまりません。同社の「GeForce Now」はクラウドベースのプラットフォームで、1,000タイトルを超える主要ゲームに対応しています。GeForce Nowを通じてアクセスすることで、ユーザーはゲームをダウンロード、インストール、アップデートする必要がなくなります。既に1,400万人を超えるユーザーが、このシームレスなゲーム体験を楽しんでいます。

しかし、エヌビディアを長期保有する価値を真に高めるセグメントが、他に2つあります。

1つ目はプロフェッショナル・ビジュアライゼーション事業で、10万人のクリエイターが、ゲームやメタバース、あるいは産業用途での仮想空間を構築するための「オムニバース」プラットフォームも同セグメントに含まれます。企業はオムニバースを活用することで、現実世界で所有する自社資産のデジタルツインを構築し、生産変更や工場保管の計画立案や、自律型ロボットのシミュレーションなどに利用しています。これらのデジタルツインはミリ単位の精度で作られるため、大型建築物やインフラ作業でも極めて有効です。

2022年1月期のセグメント売上高は21億1,000万ドルと、前年比で倍増しました。

もう1つの有力なセグメントはオートモーティブ・ロボティクス事業で、エヌビディアはAIを搭載した完全自動運転車などの先端テクノロジーで業界をリードしています。2022年1月期のセグメント売上高は5億6,600万ドルで、全社のわずか2%を占めるにすぎませんが、ダイムラー(DMLR.Y)傘下のメルセデス・ベンツが2024年以降の次世代自動車に、エヌビディアの自動運転技術を搭載する予定です。また、タタ・モーターズ(TTM)傘下のジャガーとランドローバーもエヌビディアとの提携を発表しており、同セグメントは爆発的成長が期待されます。

半導体セクターで1銘柄しか買えないとしたら、エヌビディアを選ぶでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Anthony Di Pizioは、記載されているどの銘柄にもポジションを持っていません。モトリーフール米国本社はエヌビディア株を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。