モトリーフール米国本社 – 2025年1月5日 投稿記事より
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、2024年1~9月の間に1,330億ドル相当の株式を売却しました。バフェット氏はバークシャーが保有するアップル[AAPL]株を大幅に減らし、バンク・オブ・アメリカ[BAC]については保有株の4分の1近くを売却しました。
第3四半期には、アップル、アメリカン・エキスプレス[AXP]、バンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラ[KO]の4銘柄でバークシャーの2,710億ドルの株式ポートフォリオの70%を占めました。代表的な株価指数であるS&P500指数の株価収益率(PER)が史上最高の30倍という局面で、バフェット氏は一気に現金を増やしています。
しかし、バフェット氏が売却を選択していない銘柄は注目に値します。バフェット氏はコカ・コーラ株とアメリカン・エキスプレス株を保有し続けています。このことは、2社の競争優位性と成長見通しについて、同氏がどう考えているかを物語っています。
1. コカ・コーラ[KO]
バフェット氏はその投資キャリアを通じて、多くの場合、消費者向けトップブランドに投資してきました。バフェット氏は、バリュエーションが魅力的な優良企業を見ると、飛びつきます。1988年に投資したコカ・コーラは、まさにその好例です。
1987年のブラックマンデーの株価暴落の中で、コカ・コーラの株価も急落しました。しかし、コカ・コーラの利益は2桁で成長しており、海外での成長機会も大きいままでした。暴落の直後にコカ・コーラのPERは約16倍となり、これに後押しされて、バフェット氏はバークシャーが保有する株式ポートフォリオの5分の1をコカ・コーラに投資しました。
バフェット氏はコカ・コーラ株を1株も売却していません。過去30年に数回の株式分割があり、2024年第3四半期末時点でバークシャーは4億株を保有しています。現在の株価でその時価は250憶ドルに相当し、年間7億7,600万ドルの配当金が支払われています。
コカ・コーラは、バークシャーが最初に投資した時のような高成長企業ではなくなりましたが、市場シェアを伸ばすことで利益は成長を続けるはずです。2024年第3四半期の低調な消費支出を反映して、コカ・コーラのケース販売量はわずかに減少しました。しかし、経営陣は長期的に売上高が、世界の飲料業界の実績成長率である4%を多少上回るペースで成長すると予想しています。
2025年予想PERは21倍、配当利回りは3.14%と高水準です。コカ・コーラの利益が売上高を上回って成長するという前提であれば、恐らく、長期的にS&P500指数をアウトパフォームするのには十分とは言えないかもしれません。しかし、パッシブなインカムゲインを増やしたい投資家には、コカ・コーラの強力なブランドと一貫した販売実績を見れば、保有するのに格好の銘柄と言えるでしょう。
2. アメリカン・エキスプレス[AXP]
バークシャーは30年にわたりアメリカン・エキスプレス株を大量に保有してきました。2024年第3四半期末時点では、1億5,100万株を保有しています。1998年にポジションを追加した後、バフェット氏は辛抱強く株を保有し続け、事業の成長と共にその価値を高めています。
1964年に1,250万ドルだったアメリカン・エキスプレスの利益は、1994年に14億ドル、過去1年では99億ドルでした。この利益成長の記録は明らかに、幅広い競争力の強さを反映しています。
アメリカン・エキスプレスは、少数企業の寡占状態にある業界でも際立った存在となっています。同社は顧客サービスとメンバーシップ・モデルで強固なブランドを築いています。2024年第3四半期の純カード手数料収入は、前年同期比18%増の約22億ドルでした。この恒常的な収入により、アメリカン・エキスプレスはカード会員を維持し、新規会員を獲得するための特典に再投資することが可能となっています。
もう一つの魅力は、アメリカン・エキスプレスのカード会員の支出額が他のブランドを上回ることです。このところの軟調な消費支出にもかかわらず、過去1年間の総取扱い額(請求額)は前年よりも6%増加しました。
請求額の成長率が1桁であるとしても、アメリカン・エキスプレスの2024年利益は25%という卓越した成長ペースで推移しています。これはカード手数料の堅調な伸び、低い延滞率、そして新規カード会員の着実な増加を反映しています。
アメリカン・エキスプレスの株価は割安とは言えません。2025年予想PERは20倍と、過去10年間の平均である18倍を上回っています。しかし、アナリスト予想は長期的に年率約14%の利益成長を見込んでいます。これは経営陣の目標と一致しており、バリュエーションの上昇を説明できる材料であると思われます。
アメリカン・エキスプレスの業績は景気後退局面で悪化するかもしれませんが、バフェット氏は長期的な株価上昇を想定しています。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカは、モトリーフール・マネーの広告におけるパートナーです。アメリカン・エキスプレスはモトリーフール・マネーの広告におけるパートナーです。元記事の筆者John Ballardは記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアップル、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。