2021年を振り返る

2021年もあっという間に終わろうとしています。今年も多くの方は新型コロナウイルスに振り回された1年だったのではないでしょうか。日本中がずっと我慢の生活を強いられるとともに、8月には1日の新規感染者数が25,000人を超え医療資源の逼迫が指摘されるなど非常に厳しい情勢となることもありました。

ワクチン接種が進み年後半には感染者が落ち着いてきたのは本当に喜ばしいことです。世界では新たな変異株「オミクロン」の感染が広がり、日本でも足元感染者数が増加傾向になるなどまだまだ油断は禁物ですが、なんとか収束に向かってほしいところですね。

それでは世界的な今年のマーケットの値動きを振り返ってみましょう。日経平均の12月27日の終値は28,676円でした。これは昨年末に比べて上昇しているのでしょうか。以下の表をご覧ください。

(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成 ※一部指数は休場の関係で24日終値

日経平均の昨年末比上昇率は4.5%と若干ではありますが上昇しています。ただ、表の通り米国のダウ平均は18.6%、ナスダック総合指数は23.1%上がっていますからそれに比べると物足りないパフォーマンスと言えます。

今年はコロナの影響が残りながらも先進国の株価は概ね堅調で、ドイツのDAX指数、英国のFTSE100はそれぞれ15%前後の上昇率です。また、インドのSENSEX指数は20.2%の上昇とこちらも堅調です。一方でブラジルのボベスパ指数や香港のハンセン指数はそれぞれ10%超の下落と厳しいパフォーマンスとなりました。

日経平均のパフォーマンスはやや物足りないですが、それに輪をかけて厳しかったのが新興市場のマザーズ指数です。17.6%の下落と非常に厳しい下落となりました。マザーズ指数は昨年33%と大きく上昇したのでその反動という側面が大きいのでしょう。続いて、日本で今年上がった株、下がった株を見ていきましょう。

上がった株・下がった株(東証1部編)

上がった銘柄ベスト30

(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成

まずは東証1部の上昇した銘柄ベスト30をご紹介します。まず上位で目立つのは日本郵船(9101)や川崎汽船(9107)、商船三井(9104)、NSユナイテッド海運(9110)といった海運各社の上昇です。ばら積み船関連の業績が特に好調で業績が劇的に改善しました。また、それを受け各社大幅増配を発表しており、一時は「海運株相場」の様相となりました。

その他知名度としてはあまり高くない銘柄が多いかもしれませんが、上昇した銘柄の多くは劇的に業績が改善したことが投資家に好感され買いを集めたようです。例えば上昇率3位のスノーピーク(7816)はコロナ禍でのアウトドアブームなどが追い風となり業績が爆発的に成長しています。

下がった銘柄ワースト30

(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成

上記が今年の下落率ワースト30です。下落の大きい銘柄を見ていくと、例えばEduLab(4427)、ブイキューブ(3681)、アイ・アールジャパンホールディングス(6035)、メドピア(6095)、GMOペパボ(3633)などコロナ禍における業績拡大の期待から昨年大幅に株価が上昇した反動で下落している銘柄が多そうです。あまりに期待先行で株価が上がっている場合、期待に業績が追いつかないとこのように大きく下落することは非常によくありますので、成長株に投資をされる方はぜひご注意いただきたいと思います。

さて、来年はどのようなマーケットになるのでしょうか。足元はオミクロンの影響等で世界的に感染者数が大きく増加しています。ただ、一部報道では弱毒化に向かっているのではとの指摘もあるようです。その指摘が事実だとすると、いよいよ来年は脱コロナに向け世界的に経済が正常化に向かうはずです。そうなれば日本で再び外国人観光客の受け入れが始まってくるでしょう。足元の円安傾向もあり日本に旅行したいという外国の方は依然として非常に多いと思われ、観光関連、ホテル、ドラッグストア、鉄道、航空などの関連業種が脚光を浴びてくるかもしれません。

今後のレポートで2022年の注目テーマや注目銘柄をご紹介いたします。