2022年上期の世界の株価動向

2022年もあっという間に上半期が終わりました。昨年や一昨年に比べるとだいぶコロナ前の日常生活が戻ってきましたがまだまだ完全な正常化とは言えません。室内でのマスク着用原則はもちろんのこと、筆者の子どもの小学校では一昨年、昨年に続いて今年もプールの授業は行われないそうです。また、東京で長らく行われてきた隅田川花火大会は今年も中止とのこと。さらに足元で東京都の新型コロナウイルス感染者数が8,000人を超えるなど、まだまだ油断できる状況にはなさそうです。

こうしたなか、2022年のマーケットはどのように推移しているのでしょうか。上半期のマーケット動向を振り返ってみたいと思います。日経平均の7月6日の終値は26,107円でした。これは昨年に比べて上昇しているのでしょうか。以下の表をご覧ください。

(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成

残念ながら日経平均は昨年末比で-9.3%と下落しています。ただ、表の通り米国のダウ平均は-14.6%、ドイツのDAX指数は-20.7%ですからそれらに比べるとまずまずのパフォーマンスと言えそうです。ただ、ブラジルのボベスパ指数は-6.2%、インドのセンセックス指数は-7.7%、中国の上海総合指数は-7.8%といずれも日経平均よりもパフォーマンスは良く、英国のFTSE100は+3.9%とプラスのパフォーマンスなどの例外はあるものの、上半期はどちらかといえば先進国<新興国の株価パフォーマンスが良かったと整理できそうです。

そして特に厳しい下げとなっているのがマザーズ指数の-31.2%、ナスダック総合指数の-27.4%です。両指数は米金利の上昇によりITを中心としたグロース株が敬遠される動きをもろに受けており、米金利が低下に向かわない限り本格反発は難しいかもしれません。

日経平均採用銘柄の動向は?

では続いて皆様に馴染み深い日経平均採用銘柄の上半期のパフォーマンスを見ていきましょう。まず上昇率上位には東京電力ホールディングス(9501)、三菱重工業(7011)、日揮ホールディングス(1963)、IHI(7013)、サッポロホールディングス(2501)が並んでいます。昨年末と比べた騰落率は106.1%、74.1%、69.0%、48.5%、34.2%とそれぞれ大幅に上昇しています。

日経平均構成銘柄のうち今年の株価上昇率が大きい銘柄
(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成 ※今年上場したNIPPON EXPRESS HDを除く224銘柄について2021年末と2022年7月6日の終値を比較

個別に要因を見ていくと、上昇率トップの東京電力ホールディングスについては猛暑に伴う電力利用が業績にプラスに寄与するとの期待、さらには電力不足が危機的状況になるなか、原子力発電所の再稼働可能性が高まるとの思惑から株価が大幅に上昇していると思われます。上昇率2位、3位、4位の三菱重工業、日揮ホールディングス、IHIのいずれも原子力発電所関連の技術を持っており、原子力発電所の新設や再稼働を予想する思惑が株価に反映されているのかもしれません。

続いては残念ながらパフォーマンスが冴えない下位20銘柄を見ていきましょう。下落率ワーストトップは楽天グループ(4755)の44.5%でした。楽天グループは携帯事業の巨額の赤字が嫌気され、非常に大きく下落しています。また、上述した米金利の上昇でITを中心としたグロース企業が売られていることも要因の1つでしょう。その他の下落率が大きい銘柄を見ても、IT・半導体といったコロナ禍で株価が大きく上昇した銘柄の反動が目立っています。やはり米金利の動向というのがキーポイントになってきそうです。

日経平均構成銘柄のうち今年の株価下落率が大きい銘柄
(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成 ※今年上場したNIPPON EXPRESS HDを除く224銘柄について2021年末と2022年7月6日の終値を比較

下半期に期待できそうな業種は?

ここまで上半期のパフォーマンスをご紹介してまいりました。肝心の下半期以降に期待できる銘柄ですが、コロナ次第で時期はブレるという懸念点はあるものの、筆者は継続して今年後半・来年はインバウンド(外国人観光客)関連が最も期待できると考えています。

ホテル、ドラッグストア、鉄道、航空、観光、飲食などコロナ禍で非常に厳しかった各種業種がいよいよ復活の時を迎えるのではないでしょうか。具体的に期待できそうな銘柄については次回以降のレポートでご紹介できればと考えております。