先週木曜日は米国では感謝祭(Thanksgiving Day)の祝日でした。家族が集まり食事会をする大きな行事で、日本のお正月にあたるといったところでしょうか。

この翌日の金曜日には1カ月後にせまったクリスマスの買い物を当て込み、一斉に各小売店ではセールを開始、クリスマス商戦の火ぶたが切られます。小売店が黒字に転換する日という意味から「ブラック・フライデー」と呼ばれます。近年はそのクリスマス商戦で大きな存在感を示しているのがオンライン・ショッピングですが、週明けの月曜日はオンラインの売上が急上昇する日として「サイバー・マンデー」と呼ばれています。

米国の小売店ではこの時期、年間売上高の30%をも占めると言われます。それだけにこのクリスマス商戦は米国の消費者行動を映す鏡であり、つまりは来年の米国経済・景気を占う先行指標となるため、市場参加者もその動きに注目しています。

先週、米国が祝日に入る直前、世界では北朝鮮が韓国に砲撃、アイルランドでは財務不安が再燃と市場にとっては無視できないリスク要因が顕在化しています。米国景気の回復の足並みはどうなのか、という点はますます重要になってきているといえますね。

さて今年のクリスマス商戦ですが、新聞報道によると大手百貨店では昨年を上回る客足を確保し、家電販売なども滑り出しは好調とのことです。商戦の前半への単なる前倒しなのか、実際に強い販売動向になるのかはクリスマス前までの全体動向を見てからの判断となると思われますが、今のところは消費に力強さはあるようです。

こうした消費者個々人の動向というのは、多くは「ムード」で動かされることが多く、それは市場参加者のセンチメントも同じですね。
「無い袖は振れない」という言葉がありますが、米国の消費行動は「今はなくてもきっと振れる袖になるからカードで(借金で)買ってしまおう」という傾向が(日本よりは)強いですから、景気回復の気配を感じる状況にあれば、消費行動そのものも加速することが考えられます。

米株価がリーマンショック以前の水準を一時回復し、先月の雇用統計も失業率は高止まりではあるものの改善を見せてきているだけに、多少なりとも楽観的な空気が流れ、消費者の財布のひもも緩くなりつつあるのでしょう。

今週は12月第一金曜日である3日には重要指標の一つである米国雇用統計の発表があります。今のところ先月ほどではないにせよ、予想では非農業部門雇用者数14.5万人と引き続き10万人超の改善が見込まれています。同日にはISM非製造業景気指数の発表もありますが、こちらも前回と同様、拡大を示す50を超える数字が予想されています。

こうした指標が予想を超えるような結果となれば、消費者のムードの後押しにもなり、米株高やドル高にもつながってくる可能性高まりますね。これら指標とともにクリスマス商戦の行方にもぜひ注目していきましょう。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員