投資信託協会の発表によると10月まで19カ月連続で投信への資金流入が解約・償還を上回り、過去最長とのこと。内訳では株式投信は減額、公社債投信が増えているということです。

海外の債券に投資する外債ファンド、中でも毎月分配型の為替ヘッジ付のものへの資金流入が伸びているようですね。毎月分配型でも分配金の高低で流出入が両極に分かれるようです。この点についてちょっと気になりました。

リーマンショック以降、株式や株式型投信で痛い目に遭った方にしてみればなるべくリスク回避はしたいというのはよくわかります。また少しでも月々に分配金を受け取れることに魅力を感じられるのだと思います。なおかつ、超低金利の日本円での運用よりは、資源国や新興国といった金利が高めの通貨建ての債券での運用、かつここ最近の超円高傾向に嫌気をして、為替リスクを最小限に抑えたいと思われるのでしょう。

投信を購入される方の年齢や運用目的、資金内容によっては、外債ファンドは上記の条件に当てはまり、魅力的な運用商品であると思います。でも、もしこうした人気ランキングを見ただけでご自身の条件を考えずに選択してしまうと、期待通りにいかないこともあると思うのです。

世界経済はまだまだ回復途上で、今後も不安になる場面に出会うことも続くと思います。とはいえ、米国も少しずつ回復、来年以降には出口戦略(利上げ)に向かうことも期待され(QE3は遠のいたとの観測)ています。
急激かつ超円高状態にあったドル円もゆっくりとですが反転、安定的になっていますので、このまま米国金利が上昇するようになればドル高円安に向かうことも考えられます。そうなればクロス円も円安に振れることが予想されます。
為替ヘッジ付というのは、現状の為替レートをベースに先物為替予約をつけることで、円が超低金利であるがために相応の金利差がヘッジコストとしてかかってくるものです。
今後円安に向かう場合、せっかくの為替差益を得る可能性をコストを払ってなくしてしまうことになります。そもそも債券といった金利商品を、金利をベースにした先物為替でヘッジをつけるとその期待リターンは円金利と同様になってしまうものです。

また、毎月分配金を出すということは元本を大きくしていく複利効果をなくしてしまうことになります。例え元本が目減りしても分配金を出し続けるというジレンマを抱えたファンドも多くあります。

今後世界経済が回復し、新興国や資源国でインフレ懸念が高まれば市場金利が上昇、つまりは債券価格が下落することにつながります。

長い目で投資を考え、将来的にお金を増やすことを目的としている場合は、インフレに強い商品(株式など)への投資やまだ円高の現在、今後の円安を期待するのであれば為替ヘッジなしの方が向いていることもあるでしょう。自身の投資スパンや資金性格をよく考えた上で、投資先を選択していきたいですね。
廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員

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