本日ようやく、日銀は臨時の金融政策決定会合を開催、追加の金融緩和策を打ち出しました。(そもそも9月の定例の会合まで現状放置(見守る)つもりだったことが信じられませんが・・・)
市場へより潤沢な資金供給をするため、年率0.1%(現政策金利水準・変更なし)で金融機関に貸し出す新型オペ(公開市場操作)を現行20兆円から30兆円へ増額することにしました。貸出期間は現行3カ月に対し、増額10兆円分については6カ月にするということです。
発表前には前倒しの会合を市場は好意的に受け止め、朝からドル円、株ともに上昇を見せましたが、想定内の結果(期間延長は増額分に留まったことは予想以下)に市場には失望感が広がっています。米国においても追加緩和策が示唆されているだけに、政府・日銀がしっかりと連携して、一時しのぎではなく対策にあたっていると市場に認識されない限り、相場の反転は厳しいといえますね。
さて、円高対策というと為替介入を期待する声もあるようです。先週も「必要な時には断固たる措置をとる」=為替介入意思があるととれる発言が聞かれました。
為替介入がどのように行われるか簡単に説明しましょう。
今回のように円高阻止というとドル買い円売りの介入を指します。
その介入資金は日本の場合、財務大臣(為替介入は財務大臣の権限で行います)が管理する政府の「外国為替資金特別会計(外為会計)」から出され、政府短期証券(FB)を金融市場で発行し、調達した円資金を対価にドルを買い入れます。
ちなみに、実際に介入しないで市場に対しアナウンス効果だけを狙うものを「口先介入」、各国で協調して同方向に為替を誘導するために行う介入を「協調介入」、一国が単独で行う介入を「単独介入」と言います。
現在、欧米ともに自国通貨安政策をとっているため「協調介入」の期待は難しく、したがって単独介入では介入効果は限定的だと見られています。
ところで円高阻止のための介入では市場から調達した円でドルを買い、市場に円を支払う、という流れですから為替介入によって市場の通貨(円)量、つまりマネーサプライは増加しないことになります。これは「不胎化介入」(本来は為替介入とともにマネーサプライの増減がないように金融調節を実施する介入)といいます。
現在の日本では市場への資金供給を増やす対策をしているわけですから、介入資金を市場で調達せず(FBを日銀が引き受ける)にドル買い介入を実施すれば、市場において円のマネーサプライは増加=金融緩和の効果にもつながるはずです。これは「非不胎化介入」と言われるものですが、もし単独介入を実施のする場合は、こうした介入を「大規模に」行うことで円高阻止だけではなく、デフレ対策の効果も期待できるかもしれませんね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員