米ドル/円 日足

週間予想レンジ:111.50~113.50

メインストラテジー:レンジ取引

・リスクオフの傾向
・米ドル/円の頭は重い
・調整波の深押し

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続落、地合いを一段と軟化させた。先々週の反落に続く形で目先は一段と調整波の進行が警戒されるため、今週も下値余地の拡大が想定される。

もっとも、リスクオフの米ドル高という基調が大きな背景にあると推測される。米連邦準備制度理事会(FRB)のスタンスが、タカ派に転換しつつあり、米雇用環境よりインフレ施策を第1目的とする立場を鮮明にしてきたため、米株の反落に伴うリスクオフの米ドル高が確認されやすい。この場合、米ドル/円はなかなか米ドル高のリード役になれず、むしろ他通貨での円高が波及することで米ドル/円の頭が抑え込まれた結果の調整波拡大が警戒される。

先々週はいわゆるオミクロン・ショックで大幅反落し、一旦115.51円と年初来高値を更新したものの、一旦急落したことで目先の地合いを悪化させたところも大きい。この意味合いでは、先週の続落は調整波の一環とみなされ、なおその傾向は途中段階である公算が大きい。

11月26日は一日で230pips超の下落幅を記録、米感謝祭の薄商いもあって、パニック相場の様相を呈していた。先週は114円関門を回復しきれず、同長大線の否定には遠く及ばず、基調の悪化が一段と表面化し、早期切り返しのハードルがさらに高くなった。日足では、11月30日の大陰線が目先まで「インサイド」のサインを形成し、上放れより下放れの可能性を示唆した。この場合、一時的にせよ、110円台へ反落があっても許容範囲に収まるだろう。

米ドル高のメイン構造は変わらないが、112円台半ばの支持ゾーンを下回れば、まず調整波の一段深化を警戒せざるを得ない。12月3日の反落もあって、米雇用統計後の切り返しが失敗したことに鑑み、目先は頭の重さが一段と深まる。113後半~114円関門前後における抵抗ゾーンは、早期に上放れできない限り、反落波の継続が有力と見ている。つまる所、11月26日の大陰線の支配力がしばらく効いており、先週の値動きをもって同支配力を再度確認した以上、今週は強くても弱含みのレンジ変動の範囲に留まるだろう。性急な押し目狙いは避けたいところである。

ただし、仮に調整波の延長があってもブル構造は否定できない。あくまで調整波の位置付けであることを強調しておきたい。さらに、テクニカル上の弱さを露呈しているが、それでも112円半ばの支持ゾーンをもう1度確認できた場合は、これこそ内部構造の強さを証拠付けており、これからの上放れの蓋然性を示唆してくれるだろう。とはいえ、先々週からの値動きに鑑みると、目先は油断できない。9月末安値を起点とした全上昇幅に対する調整という位置付けでは、調整波の進行や深化があれば、中長期スパンにおける絶好な押し目になる可能性も併せて指摘しておきたい。

繰り返し述べてきたように、中長期スパンにおける見通しは全く変わらない。そもそも2017年以来の高値更新を果たし、また2018年高値へ接近したこと自体、上昇波の加速を示唆していたため、大局観としては、年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの打破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、これから一段と上値余地を拡大する流れにある。

2011~2015年のような強いラリーの再現があれば、今後2,3年の米ドル高/円安の流れが一段と強化される可能性も大きく、そうなれば2015年高値125.86円のブレイクも視野に入る。

豪ドル/円 日足 

週間予想レンジ:78.00~80.50

メインストラテジー:レンジ取引

・大幅続落自体が弱気を示唆
・売られ過ぎでも継続
・さらなる深押しを想定

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週さらに大幅続落、11月から連続5週間の陰線引けで一旦79円関門割れをもたらし、オミクロン・ショックで想定よりさらに深い調整を果たした。特に先週末12月3日の大幅続落は、下落モメンタムの一段加速を示し、「売られ過ぎ」と思われたところから、さらに下落。また79円関門割れをもって「底なし」の懸念を強め、目先の地合いが大幅に悪化した。

そもそも、先週の大幅続落は、先々週の大幅続落に続く形であったため、行き過ぎの疑いがあった。しかし、先週の想定、つまりマイナスの材料は消化済みで下落がクライマックスに達したという可能性が否定されたことから、下落波自体が本物であるという公算が高まった。ここから年初来安値を試す、といった可能性も想定しておきたい。

また、そもそも豪ドルは対米ドルでの値動きが非常に弱かった。11月26日のややパニック的な変動の中、米ドル全体は反落していたものの、豪ドルは対米ドルでむしろ一段と売られ、ユーロや英ポンドなど他通貨に比べ、弱さが目立つ存在であった。米感謝祭の薄商いの中、原油をはじめ、商品相場の値崩れが豪ドルなど商品通貨の弱気変動を深め、先週の豪ドル/米ドルの大幅続落、また年初来安値更新自体がひとつのサインであったと解釈される。

そのため、先週の大幅続落を調整波のクライマックスと想定するのが目先はむしろ適切ではないかと思われる。円高より豪ドル安というポイントを見逃せない上、商品通貨対円の優位性自体が大きく修正されないといった従来のロジックを維持する一方、目先このような優位性がかなり低下し、行き過ぎたとはいえ、豪ドル安がたちまち修正されることはない可能性のほうが大きい。ただし、これはあくまで短期スパンの話で、中長期スパンにおいては全く逆だろうと見ている。

スピード調整の一段拡大、または行き過ぎがあったからこそ、中期スパンの視点において、絶好な押し目買いの好機と見なしている。年初来安値に迫ることがあっても、安値更新できない限り、ロジックの大きな修正は要らないと思う。さらに、円売りポジションの整理が先行したが、先週までの大幅続落があったからこそ、大分消化が進んだとみている。78~79円前後における下落モメンタムの低下さえあれば、自然に底打ちしやすいのではないだろうか。

ただし、底打ちがあっても戻りが鈍くなる公算が大きい。12月3日の大陰線、また12月1日の弱気リバーサルを示した陰線のサインに鑑み、80半ば~81円半ばの抵抗が厚く、早期の上放れなしでは安値圏での保ち合いに留まるだろう。

さらに、11月19日を「母線」とした「IOI」のサインがその後下放れを果たしたため、同日安値の82.14円前後もメインの抵抗と化し、当面豪ドルの頭を抑えるだろう。実際、売られ過ぎや行き過ぎ感が強いからこそ、ベアトレンドが目先強く、一気に否定できない可能性が大きい。今週は豪ドル/円が強くても安値圏での保ち合いに留まるであろう。地合いが改善されるまで、市況の紆余曲折が継続することを覚悟している。