南アフリカで新型コロナウイルスの変異ウイルスが確認され、その感染がじわじわと世界に広がる中、日経平均株価は大幅な下落が続く結果となっています。

このような値動きになると、テクニカル分析の有効性が失われるのではないかといった話をよく聞きますが、果たしてそうなのでしょうか。株価下落の予兆を察知することができなかったのか、前回のコラムで解説したことを振り返りながら、今週も今後の展開について考えてみたいと思います。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

前回の振り返り、下降トレンドへの警戒が高まる

前回のコラムでは、「5日移動平均線を下回ると同時に5日移動平均線が下向きに変化するかどうかが注目ポイント」と解説しました。

また、「仮に株価がローソク足を下回ると同時に下向きに変化するようですと、11日と12日にあけた窓を埋めることが考えられる」とも解説しましたが、11月24日に5日移動平均線と25日移動平均線を一気に下回ったところで、11月11日と12日の間の窓を埋めているのが分かります。

さらに、翌25日には25日移動平均線上を回復する場面がありましたが、5日移動平均線が下向きのままとなっており下降トレンド発生への警戒が高まりました。

そのような中、冒頭に書いた新型コロナウイルスの「オミクロン株」についての報道が26日の取引開始前に伝わると、未知のウイルスに対する警戒の高まりや変異の状況からワクチンへの効果が薄れるのではないかといった見方もあってマーケットはリスクオフとなり、25日移動平均線に加え、一気に75日移動平均線も下回って終える結果となっています。

このように、25日時点で25日移動平均線を回復したにもかかわらず、5日移動平均線が下向きのままだったことに加え、26日に25日移動平均線を下回って始まったところで、すでに5日移動平均線が上値の抵抗になることが予測できました。

そのようなわけですから、テクニカル分析の有効性が薄れたわけではなく、むしろ下降トレンド発生の可能性が高まったと考えることができたのではないかと思われます。

そうした中、26日に10月29日と11月1日の間にあいた窓を埋める結果となっていますが、実はこの26日の下落時に新たな窓が発生していることにみなさんは気づいているでしょうか。

そして、この窓の種類は何になるのでしょうか。

今後の展開について

そうです。みなさんお分かりの通り、過去の値幅の範囲内であることからコモンギャップ(=普通の窓)と思われます。そのため、今後の値動き次第ではこの窓を埋めることも視野に入りそうですが、窓を埋めるためには、5日移動平均線を上回ると同時に5日移動平均線が上向きに変化する必要があると考えられるのです。

ただ現状では、「オミクロン株」に対するワクチンの効果や治療法についてなど、不明なことが多いため、はっきりわかるまでにはもう少し時間がかかると考えるのが妥当と思われます。

またそうなりますと、下向きの5日移動平均線が上値の抵抗になっている間は下降トレンドが発生中と考えられますから、株価の下落が続くことを頭に入れておかなければなりません。

そこで、下げ止まりの目途となる水準や過去に株価が下げ止まった価格などを予め探しておく必要があります。また、埋まっていない窓について知っておかなければなりません。

その下げ止まりの目途についてですが、チャートで見て分かる通り、10月6日の安値や8月20日の安値が下げ止まりの目途となるのではないかと思われます。しかしながら、一方でこれらの下げ止まりの目途を下回ってしまった場合はどうなるのでしょうか。

次回はさらに表示期間の長いチャートを用意して、過去にさかのぼって下げ止まりの目途を探りたいと思いますので、是非みなさんも自分で探してみてください。