コロナ新変異株により急落した先週末の米国株式市場

先週金曜日(11月26日)の米国株式市場は、南アフリカで新型コロナウィルスの新たな変異株が見つかったことを受けて大きく下落しました。S&P500は1日で2.27%下がりました。コロナ関連のニュースでこれほど大きく下がったのは、約13ヶ月振りのことです。投資家の皆さんの中には、このような下げをきっかけに米国株はもっと下げるのではないかと不安に思っている方もいるでしょう。ですが、必ずしもそうではないかもしれない、という分析があるのです。

S&P500指数連動ETF(SPY)は、過去にコロナ関連報道の急落後どう動いた?

今回のように米国市場の寄付前に市場が嫌がる材料が出た場合、寄付が前日引値より大きく乖離して取引が開始されることがあります。この差のことを英語では「オープニング・ギャップ」と呼ばれていますが、S&P500指数連動のETFであるSPDR(スパイダー)S&P 500 ETF(NYSE:SPY)は、先週金曜日(11月26日)に前日引値と比べて1.51%低く寄り付き、取引が開始されました。これは2020年10月28日に1.81%のオープニング・ギャップを経験して以来の大きな下げでした。

BESPOKEによる、2020年3月27日から2021年11月26日までの、SPY がコロナ関連のニュースを理由にオープニング・ギャップが1%以上となった日のその後のパフォーマンス調査を見てみました。

それによるとSPYが1%以上のオープニング・ギャップを経験したのはこれまでで10回あり、先週金曜日(11月26日)は11回目となっています。その10回のうち、その日の寄付から引けまでに継続して下がったのは5回だけです。他の5回は前日引値から寄付までは1%以上下がったのですが、その後日中に市場は回復し、その日の引値はプラスで終わっています。

【図表】コロナ関連ニュースの影響
SPYが寄付で前日から1%以上動いた際のその後の値動き(単位:%)
出所:Bespokeよりマネックス証券作成

オープニング・ギャップが起きた後のその日の株価が引けまでに上がるか下がるかはケースバイケースですが、それが起きた翌週は10回のうち9回SPYは平均で2.79%上昇しているのです。10回のうち下げた1回は2020年3月27日でした。この時はコロナ・ショックを経験した後の回復局面での最初の大きなオープニング・ギャップで、現在と比べて市場がまだコロナに不慣れな時であったためという説明ができるのではないかと思います。

必ずしも下落が続くとは限らない

マーケットは不確実性を嫌がります。それは将来何が起きるかわからないことが嫌だからです。ただ、時間が経つとわからなかったことが少しずつわかるようになる、または、わからないことに慣れてくると、その不安に思う気持ちが減ってくるのです。そんな風に考えてみると、このデータからわかるように先週金曜日(11月26日)の下げが、必ずしもこれからマーケットが下がり続けることを示唆するものではないと考えても良いのではないでしょうか。