ファイザー(PFE)決算:一株利益は1.34ドルで市場予想を上回る
企業概要
ファイザーは、世界最大手の製薬会社のひとつであり、年間売上高は500億ドル近くに上る。年間80億ドル近い大規模な研究開発投資を行っている。以前は多くの種類のヘルスケア製品および化学医薬品を販売していたが、現在は処方箋薬とワクチンが売上高の大半を占めている。肺炎球菌ワクチンのプレベナー13、がん治療薬のイブランス、心血管疾患治療薬のエリキュース、自己免疫疾患治療薬のゼルヤンツが売上高の上位を占める。これらの医薬品は世界各地で販売され海外市場が全社売上高の50%近くを占める。また、海外市場では新興国市場が収益に大きく貢献している。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比99%増の240.94億ドル(市場予想は226.83億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・1.34ドル(市場予想は1.08ドル)
★純利益・・・前年同期比89%増の76.87億ドル(市場予想は62.11億ドル)
2021年度通期ガイダンス
★売上高・・・810-820億ドル(従来予想は780-800億ドル、市場予想は812.7億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・4.13-4.18ドル(従来予想は3.95-4.05ドル、市場予想は4.06ドル)
2022年度通期ガイダンス
★新型コロナウイルスワクチンの売上高・・・290億ドル(従来予想は229.5億ドル)
決算総括
7-9月期(第3四半期)売上高、調整済みEPSはともに予想を上回った。2021年度通期ベース売上高、調整済みEPSガイダンスレンジをともに引き上げ、両方とも予想を上回った。
今後の株価見通し
好決算を背景に、決算日は場中で4%強上昇した。ワクチンの売上高は従来予想から25億ドル増額し、360億ドルになるとの見通しを発表。また、2022年度についても290億ドルの販売を見込んでおり、従来から60億ドル超上方修正した。同社のワクチンは、モデルナなどのライバルをリードし続けているのも強みだ。株価は8月中旬からの調整幅の半値戻しを達成しており、いよいよ52ドルを目指す展開が見込まれる。
ロク(ROKU)決算:一株利益は48セントで市場予想を上回る
企業概要
ロクは、視聴時間で米国最大級のストリーミングプラットフォームを運営している。2019年にストリーミング配信されたコンテンツの視聴時間は400億時間を上回る。社名を冠したロク・オペレーティングシステムは、自社のハードウェアだけでなく、TCL、Onn、Hisenseといったメーカーのテレビやサウンドバーなどの提携ブランド商品にも搭載されている。収益は、広告、コンテンツの配信、ハードウェアの販売、OSライセンスの供与、サブスクリプションサービスの提供から生み出されている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比51%増の6.80億ドル(市場予想は6.81億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・48セント(市場予想は8セント)
第4四半期(10月-12月期)実績
★売上高・・・8.85-9.00億ドル(市場予想は9.46億ドル)
第3四半期売上高は予想を下回ったが、調整済みEPSは上回った。続く第4四半期売上高、調整済みEBITDAガイダンスレンジは予想を下回った。同社株は決算発表後引け後の時間外取引で8.5%程度下落した。
今後の株価見通し
同業のマグナイト(MGNI)も、不振決算を背景に、時間外取引で下落した(NY時間午後8時時点)。当面底値模索の動きとなろう。
チェッグ(CHGG)決算:一株利益は0.2ドルで市場予想と一致
企業概要
チェッグは、教科書のレンタル、コース支援、オンライン指導を専門とする米国の教育サービス会社である。高校や大学レベルの学生を対象に、各種講座の教科書を貸与し、修了後に返却してもらうサービスを中心に事業を展開している。レンタル料金は通常、教科書を本来の価格で購入するよりも安い。2万5000以上のタイトルの教科書を学生に貸し出しており、これまでに100万人以上の学生がサービスを利用している。また、コースや教授によるレビュー、標準化された試験の準備、キャリアの準備、学習資料をウェブサイトで提供している。収益は教科書のレンタルが大半を占め、次いでオンライン教育サービスとなっている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比12%増の1.72億ドル (市場予想は1.74億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・0.20ドル(市場予想は0.20ドル)
★純利益・・・前年同期比41%増の0.34億ドル (市場予想は0.32億ドル)
第4四半期ガイダンス
★売上高・・・1.94-1.96億ドル(市場予想は2.42億ドル)
2022年通期ガイダンス
★売上高・・・7.62-7.64億ドル(従来予想は8.05-8.15億ドル、市場予想は8.13億ドル)
7-9月期(第3四半期)売上高は予想を下回り、調整済みEPSは予想に一致した。続く第4四半期売上高ガイダンスレンジは予想を下回った。調整済みEBITDAガイダンスも予想を下回った。2021年度通期ベース売上高、調整済みEBITDAガイダンスレンジともに引き下げ、両方とも予想を下回った。
今後の株価見通し
マイクロソフトのSkypeやTeams、グーグルのHangout、Zoomなど遠隔授業のためのツールはかなりインフラが整ってきている。今後これらのツールでは、授業への貢献度(発言数、発言時間)を計測し、教師をサポートする機能が競争優位性を構築すると思われる。ハードウェアに目を向けると、マイクやスピーカー、タブレット(ペン入力)などの重要度が急速に高まるだろう。
ただし、今回の決算で、ガイダンスが低下した背後にある要因は、業界全体の大学入学者数の減少であるように思われる。更に、新型コロナウイルスのパンデミックや、賃金の上昇、その他の経済的要因によって引き続き下げの圧力をかけられている。学生登録数減少の逆風が2021年から2022年の学年度が終わるまで続く可能性が高いことを考えると、当面株価は底値模索の動きとなろう。
エレクトロニック・アーツ(EA)決算:一株利益は1.58ドルで市場予想を上回る
企業概要
エレクトロニック・アーツは、ビデオゲームのサードパーティ・パブリッシャーで、世界でも最大級の1社である。コンソール向けビデオゲームのパブリッシャーから、コンソール、パソコン(PC)、モバイル端末向けへとプラットフォームを拡大した。MaddenNFL、FIFA、Battlefield、Apex Legends、Mass Effect、Dragon’s Age、Need for Speedなど人気の高い多くのフランチャイズを有する。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第2四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比6%増の18.5億ドル(市場予想は17.6億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・1.58ドル(市場予想は1.17ドル)
第3四半期(10月-12月期)ガイダンス
★売上高・・・26.3億ドル(市場予想は26.7億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・3.15ドル(市場予想は3.16ドル)
2022年度通期ガイダンス
★売上高・・・76.3億ドル(市場予想は75.4億ドル)
★一株当たり利益・・・6.95ドル(市場予想は6.63ドル)
第2四半期売上高、調整済みEPSはともに予想を上回った。続く第3四半期売上高、調整済みEPSガイダンスレンジはともに予想を下回った。しかるに、2022年度通期ベース売上高、調整済みEPSガイダンスレンジはともに予想を上回った。
今後の株価見通し
同社とFIFAは最近、数千万人のプレイヤーと視聴者を魅了するEA SPORTS「FIFA 22」の新たなeスポーツ・プログラムを発表。今回の決算発表では、ライバルのテイクツー(TTWO)が好決算だった。しかし、同社のガイダンスは弱く、株価が大きく下落している。決算発表日引け後の時間外取引では3.9%上昇した。150ドル超えから、170ドルを目指す動きが見込まれよう。
CVSヘルス(CVS)決算:一株利益は1.97ドルで市場予想を上回る
企業概要
CVSヘルスは、会員向けにより統合されたヘルスケアサービスを提供している。年間薬剤請求処理件数(調整後)20億件超の最大級の薬剤給付管理(PBM)と、主に米国の約10,000の薬局店舗を誇るドラッグストアチェーンとが統合された。約2300万人の会員を擁するマネジド・ケア組織が追加されたことで、医療保険業界内でより強固な立場に立ち、顧客の総コストをより低く抑えることができる位置づけにある。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比10%増の737.94億ドル(市場予想は704.79億ドル)
★既存店売上高・・・9.6%増(市場予想は2.2%増)
★一株当たり利益(調整済み)・・・1.97ドル(市場予想は1.78ドル)
2021年度通期ガイダンス
★売上高・・・2865-2903億ドル(従来予想は2807-2852億ドル、市場予想は2838.9億ドル)
★一株当たりの利益(調整後)・・・7.90-8.00ドル(従来予想は7.70-7.80ドル、市場予想は7.79ドル)
7-9月期決算(第3四半期)決算では、既存店売上高が予想を上回ったほか、1株利益、売上高とも予想を上回った。通期見通しも公表しており、1株利益の見通しを上方修正し、予想を上回った。
今後の株価見通し
好調な決算を受け、決算発表日の株価は一気に新値超えとなった。今後も上昇が見込めるだろう。