先週金曜日に米国雇用統計が発表になり、予想よりは少々弱い結果とはなったものの、緩やかに景気回復していることが窺え、市場は好感しています。(発表直後は予想以下ということで失望売りがありましたが...。)
個人の動きが注目される米国ですが、個人投資家の資金もリスクマネーが回復してきたことが伝えられています。
米投資信託協会(ICI)が3月末に発表した調査によると、今年1、2月の2カ月間で株式投信には約170億ドルの資金が純流入したということです。前年同期では157.8億ドルの純流出です。
また、MMF(現金に準じる資産)からは今年同時期(2カ月間)に1807億ドルの資金が純流出しており、前年同期は537億ドルの流入で、いずれも対照的な結果となりました。今年は投資家がMMFにある流動性資金を積極的に株式市場にも振り向けつつあることがわかります。
では日本の個人投資家の動きはといいますと、ちょうど本日の日経新聞で、投資信託の特集を行っていますね。日本においても公募株式投信の純資産残高、および資金流入額は2009年中ごろから増加に転じ、回復してきているようです。景気回復が先行する新興国、資源国などの高金利通貨国に投資する投信の人気がその増加を支えてきており、個人投資家の資産のグローバル化が進んできているともいえるでしょう。
こうした投資を行うためにも「投資資金」をしっかり確保していきたいものですが、この4月から施行される様々な制度は投資家の支えになることを期待できるのでしょうか。私たちの生活に直接かかわる主なものを簡単にまとめてみましょう。
●プラス要件
・残業の割増賃金率の引き上げ
・子ども手当の支給
・高校実質無償化
・贈与税の非課税枠拡大
●マイナス要件
・診療報酬引き上げ
・健康保険料引き上げ
・国民年金保険料引き上げ
・厚生年金保険料引き上げ
・所得税の扶養控除廃止
すでにご存じのことと思いますが、プラス要件は対象者が限られており、マイナス要件については広く多くの国民に影響するものが並んでいます。残念ながらプラスは一つも該当せず、マイナス要件=負担増のみ適用される方も少なくはないでしょう。
少子高齢化、超低金利が続く日本において制度の変更、つまり国の助けによって懐が豊かになることを期待することは難しいといえます。
自身のお金の確保のためには、自分で努力して増やす=投資を行う姿勢が必要になってきますね。
ただ、自己資金があまりない方は早く増やしたいという気持ちから一極集中でリスクの高い商品に「賭けて」しまうこともあるようです。
上記でご紹介した新興国・資源国・高金利通貨国への投資も、高いリターンが期待できる半面、値動きが大きく、流動性も薄くなることもあるリスクの高い商品です。
偏った投資をしないようにくれぐれも注意しつつ、投資対象は広く探っていく努力を続けることが大切ですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー