昨夜、16年ぶりの政権交代が確定し、一夜明けて、テレビも新聞も昨日から引き続きの「政治ショー」一色です。
国民の声に経済の建て直しがもっとも多いことは知られていますが、この選挙結果を受けての今日のマーケットの動きは事前予想どおり、民主党大勝は織り込み済みであったといえるものでした。
前場ではご祝儀的に日本株も円も買われて始まりましたが、日本株に関しては、終値ベースで行って来いという結果でした。ドル円については、今週末は米国の重要指標である雇用統計も控えており、これ以上大きく動けないといったところなのでしょうか。マーケット参加者の関心はすでに雇用統計に移っているといえるかもしれません。
いずれにせよ、「選挙効果」での日本買いというのは非常に限定的であったといえそうです。

毎週水曜日にお客様がチャットで質問をして、週代わりのコメンテーター(当社のチーフ・エコノミストやチーフ・リスク・マネジャーなど)がその質問にお答えする、「チャット駆け込み寺」というオンラインセミナーを行っていますが、そこでもここ何回かは選挙の相場への影響についての質問が多くありました。
各コメンテーターの共通した回答として、「マーケットは織り込んでいる」「日本では政治の変化は市場に大きな影響とならない」といったものでした。
「チャット駆け込み寺」、今週は・・・≫
http://www.monex.co.jp/Etc/topslide/guest/G100/seminar/refuge_temple.htm
そもそも政権が交代しただけで、突然世の中が変わるわけではありません。どれだけお祭騒ぎをしても、実態経済に政策なりの効果が見えてくるのはまだ先のことでしょう。(たとえ即効性のあると思われる政策を即実行しても、実態経済への影響には多少なりとも時間がかかるものです。)
昨日の報道の中で、政権交代後の「効果」の見極め時期の目安として、「新政権発足後100日」というコメントがありました。
とすると、9月中旬に組閣・・・ちょうどリーマン・ショックから1年経過頃・・・されると、年越え時期の12月後半、世間から政策手腕が問われてくることになりそうです。

マーケットは先へ先へと経済動向を織り込んで動いていきます。世間がどう評価するか、それが見えてくる(テレビニュースなどで騒がれるようになる)より前に、マーケットでは評価してしまうということです。
株式にしろ、FXにしろ、市場で短期に勝負する場合、いかに早く、そうした情報をキャッチし、事前に動く(仕込む)ことができるかが勝敗のポイントになってくるといえますね。新聞や雑誌に記事が特集されるようになってからでは「遅い」と言われます。
オンラインで世界中の様々なニュースを瞬時に入手できるようになった現在、自身でそうした材料を分析、判断することができるようになると、短期勝負には大きな強みとなるといえると思います。
プロと同じ土俵に乗る短期の勝負とはそれだけ厳しいものともいえるのかもしれませんね。

もう少し、ゆったりと投資をしていきたい、という方には、無理をしないで、前述の実態経済の方向性を見ながら積み立てなどを利用する長期投資をお勧めしたいと思います。
廣澤 知子
マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー