日本FP協会が行った「若者(20代)のライフプランニング意識調査」(調査期間:2009年2月6日~2月12日 有効回答数:3,756サンプル)についての記事が週末の新聞に出ていましたので、ご覧になった記憶のある方も多いかもしれません。この調査対象者は20歳から29歳ですが、全体の24.5%は学生ですので、その部分は多少割り引いて見る必要はあると思います。

調査の中で、将来の不安についての設問があるのですが、「現状に満足」と言う回答は学生ばかりだったということで、上位には「家計管理」「雇用」「年金」が並んでおり、今の20代がけっして楽観主義が多数というわけではないようですね。

ところが、その不安の自覚に対し、老後を含めた将来設計を検討しているのか、というと興味深い結果となっています。年齢、年収や保有資産残高が上がるほど、「将来の夢や目標、資金計画など具体的なライフプランを描いている」人は多くなり、特に年収別で見ると、年収500万円以上の層の割合は平均の2倍もあるということです。(年収別のカテゴリーは 収入なし、100万円未満、100万円~300万円未満、300万円~500万円未満、500万円以上の5つに分かれています)

収入や資産がある人だから、将来設計を考えている人が多いのでしょうか。それとも将来設計を考えて行動しているからこそ、収入や資産が増えてきているとは考えられないでしょうか。

もっと年齢の高い層の意識調査をしたもの(できるだけ直近で)はないかと探したところ、英金融HSBCが日本の個人を対象に行った投資意識調査が公開されていました。対象は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に住む30─60代の男女832人、金融資産1,000万円以上の「マス富裕層」と1,000万円未満の「マス層」に分けて分析したものです。(調査期間:2009年4月16日~4月17日) こちらは将来設計の中でも資産形成に関する部分(投資意識)が調査目的となっています。

調査結果の概要を見ると、今後の投資姿勢として「積極的に資産運用をしていきたい」および「積極的にではないが資産運用はしていきたい」と回答したマス富裕層は合計で77%(18%+59%)、マス層は51%(8%+43%)と、マス富裕層の方が相対的に投資に前向きな姿勢を示しています。中でも30-40代のマス富裕層男性では8割強が資産運用に意欲的と出ています。
そして昨年のリーマンショック以降の金融資産の新たな購入はマス富裕層の70%に対し、マス層は40%にとどまっています。

資産があるので投資に積極的になっているのでしょうか、積極的な投資を意識的に行ってきているから資産を形成してこれたのでしょうか。

二つの調査結果はまったく重ならない層に対して行ったものですが、20代から60代にかけての考え方、行動の積み重ねはさまざまな循環を生み、時間をかけることで、その結果は大きく異なってくることを示唆しているようにも感じます。

早くから意識をもって計画し、行動を起こす、お金をただ消費するのではなく、早くから投資行動を起こす。こうした行動が資産形成の礎となっているようにも思えませんか。

人の後追いしていても、儲からないとは言いますが、姿勢や考え方は成功しつつある人を積極的にまねてみる、参考にしていくことは良いことだと思います。もう遅い、と思わずに先を見据えて計画を立てたり、行動を起こすように心がけていきたいものです。

なお後者の調査で投資タイミングについても設問しています。マス富裕層、マス層全体ともに半数近くが2009年4~9月(4~6月および7~9月)と直近時期を示していました。(調査時期が4月で、4~6月がもっとも多いという結果でした。)

廣澤 知子
マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー