9月の米国株式市場の総括

9月の米国株式市場は、S&P500が3.66%の下げ、ナスダック総合も4.54%の下げで1ヶ月を終えています。
 
9月の米国株式市場の地合いは弱いというアノマリーがある中、中国の大手不動産開発会社、恒大集団の資金繰り悪化で経営破綻の可能性が高まり、香港のハンセン指数が1日で4%下落。それを受け、世界的な株価の下落に拍車がかかりました。

また、FOMC(米連邦公開市場委員会)後にテーパリングや政策金利の引き上げのタイミングについて、より具体的なタイムフレームが確認され、8月末に1.27%だった米国10年債利回りは9月末には1.53%へ急上昇しました。それを受けてグロース銘柄が大きく下げ、バリュー銘柄は相対的に下げ渋りましたが、市場全体を押し下げることとなりました。
 
私はこの9月については、年初から米国株は上昇モメンタムが強く、株価は上昇するかもしれないという別のアノマリーが有効で、株価は下がらないと思っていましたが、その見方はあいにく間違いとなりました。

2021年の9月は市場の見方について、あまりにも弱気の意見が支配的でした。そのような場合、実際には市場は下がりにくいということも、9月は下がらないだろうという見通しを立てていた理由の1つでした。9月について米国株は下がりましたが、弱気派の意見では5%程度の下げでなく、もっと下がるという意見が多数派でした。そういった意味では、これでも市場はよく持ち堪えたのではないかと思います。

10月の注目点は第3四半期決算発表

今後の注目点は、米国企業の第3四半期の決算発表です。

現時点でのコンセンサス予想は、前年同期比で28%の増益予想となっています。これは前回の96%増と比べると、いささか低いものではありますが、28%の増益というのは歴史的に見て決して低いものではありません。
 
現時点でS&P500指数採用銘柄のうち17社が決算発表を終えていますが、その結果は前年同期比で25%の増益となっており、14社が事前予想を上回っています。決算発表済みの17社の売上については前年同期比で18%伸びており、17社全てが事前予想を上回っています。

これまでのところを見ると、とりあえず出だしは悪くないように思います。しかし、市場の方向性を決めるのは決算発表が本格化する10月の半ばからです。

未だ米国においてサプライチェーンの混乱が多くの消費者に影響を与えている中、今回の決算発表でそれぞれの企業がどのような影響を受けているかが明らかになるでしょう。また今後改善する見通しはどうなのか、この辺りが重要なチェックポイントの1つになると思います。