ここにきて、ジワジワと新興国人気が復活しつつあります。
昨年の秋までは高金利と高成長期待から新興国は世界中から注目を集めていましたが、リーマンショック以降の先進国を中心とした金融不安、実態経済の悪化により、新興国も大きな打撃を受けました。
ところが米国を中心とする先進諸国がいまだに不安定な状況から抜け出せずにいる中、中国株などには復活の兆しが見えてきています。
世界の機敏な投資家はそうした変化を見逃すはずもなく、すでにマネーが動き出しているというわけです。

もう一つ、世界のマネーの行き先として注目を集めてきているのが金です。こちらは上記のような「次の投資先」を求める積極的な動きとは逆に、「安全資産」を求める動きといえるでしょう。
ここ2か月くらいは調整局面にはあるものの、昨年秋以降のトレンドとしては比較的安定して伸びてきているといえます。
『日経ヴェリタス』によると、純金積立や金貨の販売が急増しているとのこと。純金積立は、この1~3月の新規購入件数は昨年一年間のペースを大幅に上回っているということです。

積極投資と安全資産投資、この正反対の行動は全く別のタイプの投資家が選好していると思われる方もいるかもしれませんね。実際、どちらかのタイプとはっきりしている方も多いと思います。
ですが、どちらにおいても偏らせるとリスクは増大になります。それはたとえ、「安全資産」のはずの金でさえも、大きなリスクなのです。
というのは、金の相場は株式や不動産相場と異なる動きをすることが多いというだけで、市場で取引される商品であり、かつ世界の市場では米ドル建てで行われている、つまりは為替リスクをもあわせもっているからです。
保有しているだけでは基本的には金利のつかないことからも、保有資産のせいぜい5~10%に留めておくことが勧められています。

積極投資は今さら説明の必要もありませんが、たとえどんなに成長性に期待できても、新興国市場のように値動きの大きい市場においては資産の大部分をつぎ込んでしまうにはリスクが大きすぎるというもの。

最近の不安定な市場を見て、「現金が一番でしょうか」という声も聞こえてきます。目先で見れば、現金は目減りしないで安全かもしれませんが、少し長い目で見れば、世界各国が市場に資金供給しインフレ懸念もなきにしもあらずという中ではインフレ・リスクにさらされる(現金価値の低下)可能性があります。

市場において先手を打ちつつ、安全性をも確保という都合のよい投資があるのかといえば、前述のような対照的にも見える二つの投資先どちらにも偏らせずポートフォリオに組み入れておくことでしょう。
世界の相場の連動性が高まり、分散効果は本当にあるのだろうか、と心配されている方も多いと思いますが、タイミングの違いや値動きの違いは依然としてあり、そうした違いが将来的にリターンを高めてくれるものになるものです。 資産運用は長めに見て、相場に一喜一憂しないという姿勢を保ちたいものですね。

>新興国の高金利債券販売中!
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news904g.htm?scid=top_news

>金そのものではなく金関連銘柄に投資する投信で、積立も可能
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035490000
廣澤 知子
マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー