前々回、公的年金制度の種類について触りを書きました。
皆さんは公的年金=老後に受け取るもの と思っていらっしゃいませんか?老後に受け取る年金は「老齢年金」と言われるもので、実は公的年金の全てではありません。

お給料から天引きされる厚生年金と違って、国民年金(第一号被保険者)は自分で年金保険料を納めなければなりません。面倒だから、収入が減ったから、どうせ将来たいして年金なんてもらえないだろうから・・・などの理由から保険料を払っていない、つまり公的年金に未加入のままの人も多いようです。
確かに少子高齢化はますます加速、せっせと年金保険料を払っても取り戻せないのでは・・・と悲観的になる方の気持ちもわからないではないのですが、上記のとおり、公的年金は老後の年金だけではないことをぜひきちんと認識していただきたいところです。そもそもは、公的年金の加入は国民の義務なので、個人の「いやだから・・・」という理由は通らないものなのですが。。。
さて、老後の年金以外にどんな保障をしてくれるものなのか、といいますと。1. 障害給付 ・・・ 公的年金の加入者または加入していた人が、一定の要件を満たせば、障害の程度に応じて障害年金や一時金が支給される。
2. 遺族給付 ・・・ 公的年金の加入者または年金受給権者が死亡した場合、生計維持関係など一定の要件を満たす遺族に遺族年金や一時金が支給される。

このように老齢年金に上記二つを加えた3種類の年金をカバーしてくれるのが「公的年金」です。遠い未来についてだけでなく、明日にでも起こりえるリスクについてもカバーしてくれるものなのです。ちなみに老齢年金と同様、これらもそれぞれ基礎年金(国民年金)と厚生年金があり、「要件」や支給金額などに違いがあります。

死亡や高度障害(文字通りかなり重い身体障害)に伴う遺族・家族の生活保障、老齢年金のように自分自身の長生きのリスクに応える生存保障の双方について、公的年金は少ない個人負担で対応してくれるものです。(しかも終身で!)
老齢年金の場合、物価スライドがあって、将来お金の価値が変わったとしても、それに合わせて支給額を調整するようになっているところは民間の個人年金との大きな違いです。(現行制度の場合)

前回もお話したように上記1,2は加入中であれば対象になります。ただ老齢年金は25年以上の加入期間がないと受給対象となりませんので、注意してください。

前回の「年金制度」>>
http://lounge.monex.co.jp/column/money/2008/12/08.html

なお、第1号被保険者(国民年金加入者)の方で、収入が減ってしまったような場合、免除制度もあります。将来の年金支給金額は減額になりますが、加入期間には換算されます。

将来に不安を感じる方も多い今日この頃だと思いますが、上記のような公的な保障がどの程度あるのかを知ることで自分に本当に必要な「必要保障額」がわかります。そうすれば足りない部分を民間の保険などでカバーするというムダのない行動ができますので、不安にかられて不必要な保険にたくさん入ってムダに保険料を支払うこともなくなるでしょう。
ムダな保険料を払わず、その分は将来に向けて長期投資のポートフォリオを組んでいくほうがよほど自分のためになるというもの。

1年を振り返って、お金のたな卸しをすることが大切です。ポートフォリオの見直しが大切であることは、すでに皆さんもよくご存知だと思いますが、ぜひ保険やローン、税金など身の回りのお金全般についても確認するようにしてみましょう。
廣澤 知子
マネックス証券 
シニア・フィナンシャル・アドバイザー