米ドル/円 日足

週間予想レンジ:108.00~110.00

メインストラテジー:戻り売り&レンジ取引

・再度頭打ちで調整波継続
・強気構造維持でも反落先行
・受動的な円高の位置付けは不変

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週110.81円を一旦トライしてから反落し、早期底打ちの可能性を否定した。もっとも、先々週の大幅な切り返しがあったため、調整波の早期終焉があってもおかしくないが、先週の高値トライ、またその後の反転をもって上放れ自体が「ダマシ」であったことを証拠付けており、目先は受動的とはいえ、しばらく円高傾向が続く見通しだ。

日足では、8月11日の高値トライは、一旦7月8日以来の高値を更新しており、このままでは上放れのサインと化した場合、米ドル/円の一段上昇をもたらすはずだった。しかし、当日に反落し、また先週末の米指標悪化を受けて大幅な続落があったため、結局「フォールス・ブレイクアウト」のサインとして定着し、しばらく効いてくるだろう。

従って、早期切り返しを果たせない場合、このまま8月4日安値108.72円の打診を有力視している。さらに、割り込みがあれば、一旦108円関門前後のトライも視野に入れている。言ってみれば、「フォールス・ブレイクアウト」のサインが点灯し、また効いているため、今週米ドルの軟調、また受動的な円高の公算が大きく、場合によっては一気に続落も警戒している。

この場合は、やはり大型調整波の進行が推測され、大型ジグザグ構造の進行で測るなら、年初来の高値111.67円から8月4日安値の108.72円までの下落を最初の推進子波とみなし、8月11日高値の110.81円から同様の下落幅があれば、一旦108円関門を割り込み、107円台後半の打診もあり得る。この意味合いにおいても、しばらく米ドルの続落を覚悟しておきたい。

ただし、仮に108円関門の割り込みがあっても、下値余地限定の見方自体は継承されるだろう。メイン構造としての米ドル高/円安の傾向が安易に否定されず、また調整波の先行や深化があっても強気変動自体を修正できず、むしろ調整波の先行でこれからの上昇モメンタムに繋がる公算が高いと思う。もっとも、年初来の高値更新自体が我々のシナリオ通りであり、年初来の高値更新をもって111.71~112.20円といった高値を一気にトライしてもおかしくなかった。従って、調整波の先行自体、トレンドの健全化という視点において、むしろ歓迎されるべきかと思う。

肝心なことは、やはり円の位置付けが変わらないところである。円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落、また一旦2月安値を割り込んでいたにも関わらず、米ドル対円は強気変動を維持していた。つい最近まで主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の地盤沈下が目立つ。先月から円高の圧力が継続されてきたが、あくまで調整的、また受動的な値動きで、しばらく続く可能性が大きいものの、本格的な円高への逆戻り、といった性質には程遠い。以前から述べているように、調整波の進行また下落一服があれば、中長期スパンにおいてむしろ押し目買いの絶好の好機とみなし、これからより健全な強気構造や米ドルの大幅上昇につながる公算が大きい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:78.00~80.50

メインストラテジー:戻り売り

・81円台前半にて再度頭打ち
・弱気トレンドの継続で下値打診
・下落モメンタムの一段加速も

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週軟調、値幅限定だったが、一旦先々週の高値をトライしてから反落し、かえって弱気構造の強さを証拠付けた。というのも、7月19日~23日の一週間、安値をトライしてから大幅反騰して大引けし、その後の値動きがすべて同週の値幅の中に包みこまれた。また先々週が陽線であったことも、「コップの中の嵐」とはいえ、やはり上放れに失敗したサインと読み取れ、5月高値を起点とした大型反落波の継続が有力視される。

もっとも、7月20日に一旦80円心理大台を割りこみ、その後一転して切り返し、週足では高く大引けしたものの、それはショート筋の利益確定がもたらした結果に過ぎなかった。だからこそ、先週一旦81.61円のトライがあっても長く続かず、目先まで再度反落してきたため、弱気構造の継続を示唆していた。要するに、下落途中のスピード調整があったものの、ベアトレンド自体を修正できず、80円心理大台の一旦割り込みでむしろこれからの下落余地を拡大したため、弱いリバウンド自体も再度安値更新の蓋然性を示唆している。

この意味合いにおいて、8月11日の罫線が示した「フォールス・ブレイクアウト」のサインが有効で、しばらく効いてくるだろう。80関門を再度下回れば、78円大台の打診が射程圏に収まる。そもそも、繰り返し述べてきたように、80円心理大台の割り込みが必至であり、また割り込みによって一段と構造上の下落志向が強まる。先週の値動きは、弱気構造を一段と証拠付けたした上、下落モメンタムの健在を暗示しており、しばらく下値リスクを警戒せざるをえない。

日足におけるサインの連続点灯も鮮明であった。直近の値動きとして、7月6日の大陰線が重要であった。同日豪州中銀の会合で緩和縮小を決定したが、ザラ場にて一旦84.22円をトライしたものの、その後大きく反落し、さらなる安値トライや、また82円関門以下の大引けをもって頭打ちの構造を決定した。その後に続く7月 8日の大陰線、またその後形成された「インサイド」の形成やその後の下放れを果たした分、ベアトレンドの構造をさらに深めてきた。

なにしろ、6月24日安値の83.96円を一旦割り込んだことが重要なサインだった。その後一気に3月24日安値の打診をもって頭打ちのサインを成立させた。5月10日の高値再更新が「フォールス・ブレイクアウト」のサインだったことを証明している以上、同サインの効き目がこれからも続くはずだ。またすでに効いている以上、効果の長続きも推測されることから、80円関門の割り込み程度で済まないと思う。

さらに、直近の抵抗は81円後半ですでに鮮明に確認され、7月23日や8月11日の高値をもって証明された以上、戻りの鈍さや頭の重さを示唆している。ベアトレンドの継続で下落モメンタムの一段加速も想定されやすいため、今週大した戻りなしで一気に80円関門を再度割り込み、また早期78円の大台の打診があってもおかしくないだろう。従来の計算であった79円台のトライがあっても、途中の通過点に過ぎないと思われる。

従って、再度80円心理大台の割りこみを確実視している。またその後の切り返しの先行があってもメイン構造を修正できず、先週高値の再打診自体もハードルが高いため、早期回復なしの続落を覚悟しておきたい。7月後半から大分安値圏でも保ち合いを形成し、また再度頭打ちを果たした分、今週の下落モメンタムの加速を覚悟している。言い換えれば、ベアトレンドの自己実現性で安値トライの勢いがますます強化されるため、急落があるとすれば、むしろこれからだと思う。