東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて続伸となりました。18円安の27,709円で寄り付いた日経平均は直ぐにプラスに転じると9時10分過ぎに160円高の27,888円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めるとマイナスとなり10時過ぎに14円安の27,713円まで下落しました。しかし、下げ渋るとまもなくしてプラスに転じ16円高の27,744円で前場を終えました。

さらに持ち直し83円高の27,811円でスタートした後場の日経平均は12時40分前に105円高の27,833円まで上昇した後14時10分過ぎに65円高の27,793円まで弱含みましたが、引けにかけてやや戻すと結局91円高の27,820円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇した一方で、日経ジャスダック平均が下落となっています。

2.個別銘柄等

ニコン(7731)が8.4%高となりました。第1四半期の決算を発表し新型コロナウイルス禍で低迷していた高価格帯のデジタルカメラの販売が想定以上に回復することなどから通期の営業利益の見通しを200億円から270億円に上方修正したことで大幅高となりました。フジクラ(5803)も16.3%高となり年初来高値を更新しました。第1四半期の決算を発表しスマホ向けの需要増を背景に電子部品やセンサーを扱うエレクトロニクス部門が想定以上に伸びることなどから通期の営業利益の見通しを200億円から295億円に引き上げたことで買いを集めました。

太陽誘電(6976)も第1四半期の決算を発表し主力の積層セラミックコンデンサが自動車やスマホ向けに伸びていることから通期の営業利益の見通しを470億円から550億円に上方修正したことで6.0%高となっています。また、資生堂(4911)も5.9%高となりました。上期の営業利益の通期予想に対する進捗率が85.2%となったことから業績の上振れ期待が高まりました。さらに塩野義製薬(4507)も開発中の新型コロナウイルスの飲み薬候補について年内に条件付き早期承認の申請を目指す方針を手代木功社長が明らかにしたことで5.5%高となっています。

一方で任天堂(7974)が7.2%安となり年初来安値を更新しました。主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売が大きく減ったうえ、前年に「あつまれ どうぶつの森」が大ヒットした反動でソフトの販売も減少したことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で17.3%減となったことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は91円高となりました。景気敏感株を中心に買い戻しが入り昨日の米国市場が上昇し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことで買いが優勢となりました。しかし、日本時間の21時30分に7月の米雇用統計の発表を控えていることや三連休前ということもあって200日移動平均線(27,927円)を前に伸び悩むと上げ幅を縮めました。

先週から何度か200日移動平均線の回復に失敗しているだけに上値の重さが改めて意識されそうですが、こうしたなかで来週も引き続き200日移動平均線を超えてさらに戻りを試すような展開がみられるかがポイントとなりそうです。なお、引け後にはディー・エヌ・エー(2432)や住友金属鉱山(5713)、三菱地所(8802)、NTT(9432)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)