米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.80~109.70

メインストラテジー:レンジ取引

・弱含みも変動率低下
・メイン構造自体は維持
・夏枯れ相場先行か

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週反落し、陰線引けしたものの、先々週の値幅の中に留まり、週足では再度「インサイド」のサインを形成した。先週指摘した通り、111円関門の早期ブレイクなしでは再度反落の可能性が大きく、目先としては保ち合いの先行が引き続き有力視される。

もっとも、先々週の大陽線が一旦基調の好転につながっていた。この意味合いでは、先週の反落は目先の変動率の低下を示し、しばらくレンジ変動に留まる可能性を強く暗示していたとも読み取れる。なにしろ、先々週安値トライしてから一転して高く大引けし、週足では「スパイクロー」のサインを形成していた。109円関門の死守でスピード調整の完成とも読み取れただけに、先週続伸できなかったことは強気基調になりきれないことを示唆している。

とはいえ、先々週の安値を割り込まない限り、当面基調の崩れにはならないだろう。以前述べたように、7月に入ってからの大きな反落をもって米ドル高が一服し、またスピード調整の先行を示唆していたため、先々週の安値トライ、また安値トライした後の反騰をもって目先の調整波の限界を示しており、「底割れ」の回避を確認できるところで当面は高値圏におけるレンジ変動に留まる値動きが有力視されたため、先週の反落があってもその一環と位置付けている。

ただし、109円関門割れなしといった判断も時期尚早、7月最初の週の大幅下落で年初来の安値を起点とした支持ラインの割り込みが確認されたため、先々週の切り返しがあっても同ラインの役割、即ち一転して抵抗ラインとしての位置付けは完全に否定されず、先週の反落もあって、米ドルの上値余地が再度確認されただけに、保ち合いが先行されても、その後再度109円関門を試す可能性がある。

ただし、仮に先々週安値の再打診や109円関門の割り込みがあっても、下値余地限定の見方自体は、継承されるだろう。メイン構造としての米ドル高/円安の傾向が安易に否定されず、調整波の先行や深化があっても強気変動自体を修正できず、むしろ調整波の先行でこれからの上昇モメンタムに繋がる公算が高いと思う。さらに、109円関門の割り込み自体も容易ではなく、割り込めずに済む可能性も軽視すべきではない。

もっとも、年初来の高値更新自体が我々のシナリオ通りであり、年初来の高値更新をもって111.71~112.20円といった高値を一気にトライしてもおかしくなかった。従って、調整波の先行、また高値圏での保ち合い自体は想定範囲内の出来事であり、先々週の切り返しも強気シナリオの一環として自然な成り行きと位置付けている。109円関門の維持があれば、同見方が一段と証明されるだろう。

以前から述べているように、米ドル/円の頭の重さをもたらす一番大きな背景として、米ドル全面高の流れが強まってきた点に注意しておきたい。米ドル指数は総じて上昇波としての構造を維持しており、6月の米消費者物価指数(CPI)の急上昇もあって、これから3月末以来の高値を更新していく流れが有力視される。米ドル全面高でユーロなど外貨の反落が継続されるなら、ユーロ/円などクロス円における外貨安につられる形で円高の圧力がみられるはずなので、逆に米ドル/円に波及し、米ドル全面高だからこそ米ドル/円の頭が重い、といった流れがこれからも続く可能性が大きい。先週における米ドル/円の反落は、米ドル指数と連動した値動きと思われるが、これから連動性を強めていくとは限らないため、要注意である。

8月に入り、また米連邦準備制度理事会(FRB)のスタンスが明白化されるまで、「夏枯れ」相場の先行が有力視される。この場合は変動率の一段低下でレンジ変動に留まるが、弱含みの展開に引き続き警戒しておきたい。半面、変動率の低下でかえってメイン構造を一段と強める側面もあるため、短期スパンにおける弱含みが中長期スパンにおける強気変動の土台を提供する可能性は大きいだろう。

肝心なことは、やはり円の位置付けが変わらないところである。円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落、また一旦2月安値を割り込んでいたにも関わらず、米ドル対円は強気変動を維持していた。つい最近まで主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の地盤沈下が目立つ。仮にこれから円高の圧力が継続されても、あくまで調整的、また受動的な値動きで、本格的な円高への逆戻りには程遠く、中長期スパンではむしろ押し目買いの好機、という見方は変わらない。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:79.00~81.00

メインストラテジー:戻り売り

・80円関門割れで下値余地を拡大
・先週切り返しできず弱気維持
・「夏枯れ」でも下値リスク

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週軟調であり、値幅限定で先々週の値幅の中に留まったものの、切り返しを果たせず、ベアトレンドの強さを証拠付けた。この意味合いでは、先週の見方を維持したまま、全く修正する必要はなく、また先々週の値動きが示したサインをより重視せざるを得ない。

先々週一旦80円心理大台を割りこみ、その後一転して高く大引けしたものの、週足において陰線で大引けしたのは、ショート筋の利益確定がもたらした結果と見た。要するに、下落途中のスピード調整があったものの、ベアトレンド自体を修正できず、80円心理大台の一旦割り込みでむしろこれからの下落余地を拡大した、という結論は先週指摘した通りであり、先週の軟調はその証拠となる。

以前から述べているように、80円心理大台の割り込みが必至であり、また割り込みによって一段と構造上の下落志向を強めることになる。先々週安値トライした後の切り返しがそれなりに大きかったものの、下落志向を修正できるほどの値動きではなく、むしろこれから再度頭打ちの可能性を示唆しているようにみえたため、先週の値動きは我々の想定通りだったと言える。

先週述べたように、早期に切り返しの継続、また高値トライができなければ、先々週の安値からの切り返しは、あくまでスピード調整であり、また「ダマシ」的な値動きであった。先週の軟調を継続する形でこれから再度安値トライにつながるだろう。先週の続落があって、81円大台前後の抵抗が厚く、安易な上放れを回避できる見通しであり、豪ドル/円のスピード調整があっても、当面大したモメンタムにならないだろう。

日足におけるサインの連続点灯も鮮明であった。直近の値動きとして、7月6日の大陰線が重要であった。同日豪州中銀の会合で緩和縮小を決定したが、ザラ場にて一旦84.22円をトライしたものの、その後大きく反落し、さらなる安値トライや、82円関門以下の大引けをもって頭打ちの構造を決定した。その後に続く7月8日の大陰線、またその後形成された「インサイド」の形成やその後下放れを果たした分、ベアトレンドの構造をさらに深めてきた。

6月第3週の反落が、市況を一変させたところが大きかった。すでに3月末安値の82.28円の打診もあり、当面の頭打ちや、豪ドル/米ドル次第で、調整幅の拡大が見込まれ、また調整波の先行でしばらく高値再打診の可能性を後退させたため、その後の戻りはむしろ戻り売りの好機と見なしたのも正解であり、その後の下落は想定通りの展開になった。

なにしろ、6月24日安値の83.96円を一旦割り込んだことが重要なサインだった。その後一気に3月24日安値の打診をもって頭打ちのサインを成立させた。5月10日の高値再更新が「フォールス・ブレイクアウト」のサインだったことを証明しており以上、同サインの効き目がこれからも続くはずだ。またすでに効いている以上、効果の長続きも推測されることから、先々週の80円心理大台の一旦割り込み程度に留まらないとみている。

82円関門以下の安値打診があれば、変動レンジの下放れを示し、前期「フォールス・ブレイクアウト」のサインの効き目で変動レンジの「倍返し」的な下方シフトが想定されるだろう。この場合、少なくとも79円円台半ばの下値余地が計算されるため、80円心理大台の割り込みや、同下落構造を強化、また再度安値更新があれば、79円関門を割り込み、さらに78円台のトライがあっても許容範囲内の出来事とみている。

従って、一旦80円心理大台割れ、またその後の切り返しの先行があってもメイン構造を修正できず、先週指摘したように、82円関門前後は一転してメイン抵抗となりやすく、早期回復なしでは続落するだろう。そして先週の続落があったからこそ、同抵抗ゾーンの下方修正につながる。この意味合いでは、先々週の「スパイクロー」の足型は、サポートの意味合いが薄く、むしろ「重り」として定着し、再度安値トライや更新をもたらすだろう。先週の見方を維持しておきたい。