先日、外国為替について金融機関や機関投資家など内外のプロが集まるフォーラムがありました。残念ながら時間の都合がつかず、全部は聞けなかったのですが、大変興味深いものでした。
各セッションはパネルディスカッションになっており、テーマについて専門家が議論を交わす、という形式でした。
現在の市場、今後の市場に対し、プロはどう見ているのかを最も注目していたのですが、当然と言えば当然ではありますが、ものの見事に方向性・意見は2つに分かれました。
為替市場の変動要因については皆様もよくご存知のように、経済指標であったり、金融政策であったり、または株式市場など他の市場の値動きや重要人物の発言であったり、と様々です。
ですが、市場参加者が人間である以上、やはり「人の思惑」がもっとも大きな変動要因といえるのではないでしょうか。市場に変なウワサやデマが流れたとき、市場は如実に反応します。
例えば経済指標で良い数字が発表され、かつ要人が何も否定的なコメントしていないようなときであっても、突然相場下落が起こることもあります。後でその値動きを振りかえってみても、やはり原因不明だったりします。そんなとき、表には出てこないのですが、実はディーラー間のネットワークで、情報交換中になにがしかの思惑が行き交っていた、というようなことがあります。 人の意見や考えが伝播し、それによって市場が動きます。これは為替市場に限ったことではなく、株式市場でも同じです。
さて、話をパネルディスカッションに戻しますと、司会者が今後6ヶ月、12ヶ月後の為替相場(主としてドル円)の予測をたずねたところ、6名の参加者のうち2名は12ヶ月後には110円レベルの円安を予測し、4名が85円~95円レベルの円高を予測していると発言しました。予測レベルではあるものの最大25円の開きです。
パネラーの誰もが、適当に印象や思いつきを語っているのではなく、現在得られる情報や経済データをベースに分析したうえでの発言で、です。
専門家ですら、このように将来の読みは全く異ります。
市場にはこうしたプロの読みのほかに個人投資家の思惑(思いつきや思い込みもあることでしょう)、相場に関係なく必要だから取引される実需玉などがところどころに入り込みます。だからこそ市場は予測不能な動きをするのですね。
当初は皆様に役立つ情報としてプロの見解を紹介できるのでは、と思っておりましたが、上記の通りプロの意見も様々でした。
以下は今後の世界経済の見方として、ある程度パネラーのコンセンサスが取れている点(会場参加者にも司会者が質問挙手を促し、市場参加者の多くのコンセンサスとも考えられます)です。
ぜひ皆様が今後の為替相場予想をする際の参考にしてみてください。
●金融危機(信用収縮)はほぼ終焉したという認識
●米国経済は引き続き弱含み、世界経済の勢力図に変化
●日本は輸出型外需依存経済できているが、今後は内需拡大が必須(言い方を 変えれば、内需拡大ができなければ日本経済は厳しい)
●世界的なインフレの進行 ただし簡単に利上げでの対処は困難に
さて、どうなる?ドル円??
廣澤 知子
マネックス証券 マーケティング部 マネジャー
シニア・フィナンシャル・アドバイザー