この4月より後期高齢者医療制度(この「後期高齢者」というネーミングもどうかと思いますが)が施行されました。まだ(老齢)基礎年金問題も片付いていないのに、唐突感、説明不足、との印象を強く感じる方が多いかもしれませんね。基礎年金と医療保険は別の問題ではありますが、いずれも高齢者を直撃する問題という意味では同じです。
まだ年齢的に関係ない問題だ・・・と思っている方もいるかもしれませんが、そんなにノンキでいて良い問題ではありません。
少子高齢化の日本においては現役世代の負担増加はもちろん想定されるのですが(そもそも今回の後期高齢者医療制度は現役世代の負担軽減のために導入されたものです)、現役の方自身が高齢者になったときに今よりも社会保障が充実しているとは予想しにくいですよね。
つまりこの問題は直面してしまっている高齢者の方だけのものではなく、将来の自分自身のキャッシュフローがより厳しくなることも意味しているのです。
日々の生活に影響を与えるガソリン高や食料品高などの問題と向き合いつつも、長期的な視野で老後資金を作っていかなければならない、という厳しい現実です。国に頼ってはいられないのですから自分でどうにかしなければならないということですね。
世代別に対処法を考えてみましょう。
● 20代~30代前半(若年層)
たくさんのキャッシュフローはないかもしれませんが、日々のムダをなくすことで少しずつでも「積立」に回せるお金を確保しましょう。若年層は時間を武器にできるので、例え少しずつでも複利効果を最大に活かしていけば将来にまとまった資金になってくれることでしょう。
● 30代半ば~40代(働き盛り層)
仕事に追われ、家庭においては子育て、教育費もかかり、収入が増えても、出金も膨らみがちの方が多いでしょう。マイホームを取得される方も多いと思います。将来の見通しがつきやすくなってきているはず。ライフプランを再考し、いつどのくらいお金が必要かを具体的に考えていきましょう。ボーナスなどまとまったお金が入った際にはしっかりと貯蓄・運用に回せるようにしていくことが必要です。
● 50代~(プレ定年層)
子育てが終了、住宅ローン残金も少なくなり・・・と少し余裕が出てくる方も多いと思います。そこでついつい気を抜いてしまう方もいらっしゃるようですが、冷静に迫る老後生活について考えてみてください。拡大傾向であった住居、食費など子どもの独立などで以前ほど必要でない部分も出てくると思います。定年時の退職金額やその使い道などについても前もって計画的にご家族で話し合うようにしたいですね。
どの世代にもいえますが、お金を「守る」のではなく「増やし」たいという限り、投資をご自分の生活の中に取り入れていくことは必須となります。 大量の原資がある以外(何十億もの資金があればこれだけ低金利でも定期預金や債券の利息だけでも生活していくことができるでしょう)は、預貯金などリスクは低くとも限りなくローリターンの運用だけでは、たとえ複利効果を最大に活かしても充分にお金は増えてくれないものです。
「リスクがあるからコワイ」ではなく、「リスクをとらないと人生で行き詰るというリスクがある」ことを意識して、なるべく早くから投資に取り組むことをお奨めします。ただしリスクを取り過ぎることには充分に注意してくださいね。