先週から米ドル円はまた一段と円安方向に動き、一時124円台に突入しました。ユーロ円も最高値更新となりました。

前回「高金利通貨の注意」を書きましたが、他にもまだ注意点がありますので、前回に引き続き本日も高金利通貨について書いていきたいと思います。前回はこちら> http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/008009.html
まず、一言で「高金利通貨」といっても先進国で、経済状況が良いために高金利となっている国の通貨と、通貨価値の下落を防ぐため(一般に金利が高い通貨は買われやすいため)に政策的に高金利にしている国の通貨の2種類があることに注意してください。

前回や上記で挙げた「高金利通貨」諸国(米国、ユーロ加盟国、英国やニュージーランドなど)はOECD加盟国で、かつIMF(国際通貨基金)の「経済先進国」のカテゴリーに入り、世界銀行の「高所得国」のリストアップに入っている国々です。政治的にも経済的にも一定の水準での安定が見られる国々ですし、信頼度の高い情報も入手しやすく、そういった意味からは外国に投資するにあたって忘れてはいけないリスクの一つである「ソブリン・リスク」(カントリー・リスク)はそれほど高くありません。
S&Pのソブリン格付けはこちら>
http://www.standardandpoors.co.jp/site/creditratings.do?&r=6&l=JP&ln=23283&fl1=Credit_Ratings&method=ratingList&fl4=Sovereigns&ft
(S&PではBB以下は投機的な要素が強いとしている)

アジア諸国や南米、アフリカなどについては一時期の経済危機から復活してきたとはいえ、まだまだインフラその他不安定な要素があります。長い目で見た成長性といった点からは期待できるかもしれませんが、為替リスク、流動性リスク、ソブリン・リスクなどは先進諸国よりずっと大きいことをぜひ確認してください。

私は以前米銀でエマージング通貨担当をしていたことがあり、1994年末のメキシコ通貨危機、1997年のアジア通貨危機など目の当たりにしてきました。何かあったときの、その下落のスピードと流動性の少なさはプロの世界でも凄まじいもので、個人投資家であれば置いていかれることは確実です。

ただ、そうした国々は前述の通り、今後に期待できるところも多く、ぜひ投資をしたいと言う方も多いと思います。そうした場合は以下の2点に注意することをお勧めします。

1.投信などを通じてプロの力を借りて、分散投資をする。
2.BRICsやネクスト11※ といった諸国への投資比率が大きくなり過
ぎないように注意する。

※ネクスト11 : バングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、 韓国、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナム
投資に行き過ぎは禁物です。長く、安定的に運用できる環境を自分自身で整えることが大切だと思います。